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『寂しい生活』 稲垣えみ子

寂しい生活

稲垣えみ子(いながき えみこ)

東洋経済新報社

あれほど「なければやっていけない」と信じていた家電が、「なくてもやっていける」どころか、「ないほうがむしろ楽」「面白い」「意外に豊か」という驚きの事実が次々と明らかになったからだ。掃除機をやめたら掃除が好きになった。電子レンジをやめたらご飯が美味しくなった。冷暖房をやめたら厚さも寒さも友達のごとき存在になった。それは嘘のような本当のことであった。それまで「良いこと」としか思ってこなかった「便利」ということが、なんだか怪しく見えてきたのである。(p109)

 家電って、家事を楽にするための道具だったはずなのに、使わなくなってからの方が楽になったという実感を持った稲垣さん。これまでずっと信じてきた「便利」が本当にそうなのか?ということに疑問を持ち、どうも違うらしいという結論に至ったのです。「ほら便利ですよ」という口車に乗って買ってしまった「いらないもの」が家に増えてしまって、家を狭くしているだけじゃないかということに気づいてしまったのです。

 

「何かを手にいれなければ幸せになれない」という思い込みは、振り返ってみれば自由どころか不満の源泉であった。なぜなら、何かを手に入れてもすぐに次の「欲しいもの」が現れるからだ。いつまで経ってもゴールはない。(p229)

 斎藤一人さんが言っていた「日本人は休息時間が足りないからイライラしている。その欲求のはけ口として買い物をする。だから狭い家の中に物が溢れかえっている。高い家賃を払っているのに、自分のためのスペースが狭くなっているのはそのせいなのだ。でも物は捨てない、だから益々イライラする。そしてまた、買い物をする。」というのを思い出しました。

 

冷蔵庫だけじゃありません。
洗濯機を捨てたら、タオルやら下着やら付近やらの量も格段に減りました。手で洗うと大量のものを一気に洗うことができないので、その日の汚れ物はその日に洗うようになった。結果、予備のストックを持つ必要がなくなったからです。(p259)

 バスタオルみたいに大きなものは手では洗えないから処分し、小さなタオルで身体を拭けばいいんだと気付く。冷蔵庫がなければその日食べるものしか買わなくなる。読んでしまった本は古本屋や図書館へ持っていく。もう着ない服は古着屋へ、誰が来るわけでもないから大量に食器がいるはずもない。

 持ち物はおのずと最小限で済むようになっていくのです。ものが少なければ、うちの中で探し物をすることもなくなります。だって、全部見えているんですもの。

 余計なものがなくなれば、余計なことを考えることもなくなります。その代わりに、風を感じ、鳥や虫の声に気づき、陽の光をありがたいものと思うようになります。稲垣さんはもしかしてこれは「悟り」かしらっておっしゃってます。

 

 そんな生活を傍から見ると「寂しい」と感じる人もいるかもしれないけど、実はモノが少ない生活こそ「自由」なんじゃないかな?って思えてきました。自分の欲が自分から発生しているのではなく、誰かの口車に乗っているだけなのかもしれないという疑問が湧いてくるのです。

 稲垣さんのほどに思い切ることができなくても、自分の身の回りにあるものの存在意義について考えてみるのは大事ですね。ずっと使っていないお鍋や食器。ずっと着ていない服、どうしてこんなにたまったかなぁと思う紙袋。たまには「エイッ」って処分しないとね。

  会社を辞めようと思った(「魂の退社」)のも、すべてを抱え込んでしまっていた自分を見直した結果なのですが、これだけ真剣に考え、自分の人生をリセットしたからこそ、今の自由があると言える稲垣さんは勇気ある人だと思います。

2398冊目(今年97冊目)

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