『みつばの郵便屋さん 6 階下の君は』小野寺史宜
秋宏さんは、みつば郵便局勤務となって7年目になりました。町の中に知り合いが増え、「郵便屋さん」と声をかけられることも増えました。毎日郵便物を届けているので個人情報をたくさん知ってしまうから、それは誰にも漏らさないようにしています。マンションなどで個別に郵便物を届けるときには、個人名を呼ばないように、郵便受けに無理やり郵便物を入れないように、そして一番大事なのは誤配しないこと、結構神経を使う仕事でもあるのです。
この4篇が収められています。
・階下の君は
「食っちゃ寝て書いて」の主人公、横尾誠吾さんもみつば郵便局の管内なのです。
・今日もゼロベース
原点に戻るってことかな?
・あきらめがカギ
封筒の中にカギのような固いものを入れるときは気を付けてね。
・秘密の竹屋敷
ずっと空き家になっていた家に郵便が送られてきて、本当にこの家に誰も住んでいないのかを確認するのも配達のお仕事の一部なのです。
郵便物の誤配や破損などについて、秋宏さんに声をかけてくる人が大勢います。自分がやったことでなくても、郵便局の人間として真摯に対応する彼に、たいていの人たちは「気を使わせて悪かったね」と言ってくれます。飲み物を用意して待っていてくれる人もいるし、時には「お昼食べていきなよ」と声を掛けてくれる方もいます。
「こんにちは」「ありがとう」「またね」それだけでいいんです。町の中で出会う人と声を掛け合える関係っていいですよね。そういう町なら安心して住めるなって思います。
2389冊目(今年88冊目)
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