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『炎上フェニックス 池袋ウエストゲートパーク XVII 17』 石田衣良

炎上フェニックス 池袋ウエストゲートパーク 17

石田衣良(いしだ いら)

文藝春秋

おれとしては今の形で満足しているが、ひとつだけ不思議なことがある。デフレ不況と少子化と新型感染症がトリプル機器として押し寄せる現代ニッポンでは、仕事をたくさん抱える人間ほど、なぜか貧しく、暮らしがしんどくなってる気がすることだ。(巣鴨トリプルワーカー より)

 マコトが住む池袋も、新型コロナのせいですっかり人出が減っています。Gボーイズの店も例外ではなくて、キング・タカシもボヤキ気味。でも、マコトのところに仕事を依頼する人は、こんな時だからこそいるのです。

 

・P活地獄篇
 パパ活の組織から抜け出せなくなっている女性を助けたいと相談してきたのは、マコトの先輩でした。

・グローバルリングのぶつかり男
 ぶつかり男って、子どもや女性や老人だけを狙ってぶつかってくるんだ。

・巣鴨トリプルワーカー
 新型コロナが流行してから、自転車での宅配が増えたよね。配達員にはいろんな人がいるんだ。

・炎上フェニックス
 自分は正義であるという思い込みだけで、誰かを攻撃してくるネットの住民は、それがどれほど酷いことなのかをわかっていないらしい。

 

ちなみに包囲戦(史上最悪の包囲戦と言われる第二次大戦のレニングラード戦線)について知りたかったら、アレクシエービチの「戦争は女の顔をしていない」がおすすめだよ。2015年のノーベル文学祖父受賞者。あんたも読んだら、ぶっ飛ぶよ。驚いたことに、わがニッポンではこの重厚なノンフィクションが、ちゃんと漫画化されているのだ。世界に誇るべきソフトパワーというのは、こういうやつ。(炎上フェニックス より)

 「戦争は女の顔をしていない」の話がこんなところで登場してました。今クロアチアで起きている戦争のニュースを見る度に、この本のことを思い出します。

 こんな時代だからこその個人的な犯罪が増えている一方、戦争犯罪がまた繰り返されています。人間というのはどこまで愚かで、欲深いものなのでしょうか。

 新型コロナは、いつか終息する日が来るけれど、犯罪がなくなることはないのだということを強く感じるのです。

2415冊目(今年114冊目)

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