『私の家では何も起こらない』 恩田陸
丘の上にある古いお屋敷は、近所の人たちから幽霊屋敷と呼ばれている。そこで何があったのか、本当のことを知っている人はきっといない。でも、いろんな人たちがそこに住み、そこを訪れ、死んでいった。
幽霊たちはいろんな思い出話をしてくれるのです。それまでどんなことをしてきたのか、どうしてこの屋敷に引き寄せられてしまったのか。床下に何があるのか。庭のウサギの巣穴につまづく人が大勢いること。この屋敷を修理しに来た大工たちが何に怯えたのか。この屋敷を手に入れた作家は、ここの何が気に入ったのか。
この短編集は、ページを開くとあっという間に、恩田陸の世界感にどっぷりと浸かってしまうのです。ここはどこの国なのでしょうか。どうやら日本ではなさそうです。オーブンでアップルパイを焼いているから、英国なのか?アイルランドなのか?
なんとなく、スティーヴン・キングが描いたセイラムズ・ロットのような気もするのです。
この屋敷に引っ越してきた作家は誰だったのでしょうか?もしかして、恩田さんご本人だったのかしら?
2411冊目(今年110冊目)
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