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『ドライブインまほろば』 遠田潤子

ドライブインまほろば

遠田潤子(とおだ じゅんこ)

双葉文庫

 峠沿いの旧道にある「ドライブインまほろば」に、憂という少年が幼い妹と2人でやってきて「夏休みが終わるまでここにおいてください」というのです。ひとりでこの店を切り盛りしている店主の比奈子さんは、何かわけがありそうなこの2人を、ここにおいてあげることにしたのです。

 憂は義理の父親から虐待されていました。母親はそれを見ても助けてくれませんでした。でも、彼はじっと我慢していました。それで妹が幸せに暮らせるならいいと思っていたのです。でも、ある日我慢の限界がやって来て、父親を金属バットで殴って殺してしまったのです。

 この物語に登場する人たちはみな不幸を背負っています。

 憂の義理の父親は双子の兄と2人、祖父母の家で育ち、両親の愛を知りません。

 「ドライブインまほろば」の比奈子さんは母親が運転していた車の事故で幼い子を亡くしてから、夫とも別れてひとり暮らし。母親はなんだかんだと言ってやって来るけれど、本当は顔を見るのも、声を聞くのも嫌で、それを言えない自分が嫌いなのです。

 殺された父親の兄が子どもたちを探すのですが、彼も自分の家族に対しての苦悩を背負っています。

 不幸の連鎖というのは悲しいですね。本当は幸せになれるはずなのに、そんな人生があるなんて想像することもできないのは、幸せだったことがないからなのでしょうか。

 どんなにひどい目に遭っても、それが普通のことと思い、それでも親のことが好きで、自分が我慢すればいいんだからと思って生きている子どもを救うにはどうしたらいいのでしょうね。

 それにしても、「自分で子どもを育てる気はないから、同居しているのに育児放棄して、結局は児童保護施設に入れる」親がいるというのは、余りにひどい!

 ラストはホッとするものでしたけど、こんな風に幸せになれない子どもも大勢いるのでしょうね。人間とはかくも愚かなものなのでしょうか。

2388冊目(今年87冊目)

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