『それでも僕は夢を見る』 水野敬也 鉄拳
彼はいつも夢とともに生きていた。志望校へ行きたいとか、ステキな女性と付き合いたいとか、仕事で認められたいとか、いろんなことを夢見てたけれど、それが叶えられることはなかなかなかった。どんなに落ち込んでいても、いつもとなりにいた夢は彼を応援してくれた。大丈夫だよ、次はきっとうまくいくよってね。
でも、上手くいくことがちっともなくて、彼はどんどんつらくなってきた。がんばっても仕方ないと思うようになってしまった。
そして、夢を捨てた。
自分がやりたいと思うことがあるのに、それが全然うまくいかなくて、いやになってしまって、もうどうにでもなれ!って思ってしまって、夢を捨ててしまうのって、他人事じゃない。
ホントはこんな人生じゃなかったはずなのにって、ボヤきたくても、ボヤク相手もいないなんて最低だよね。
でもさ、今がサイテーなんだとしたら、それより下にはならないって思うしかないじゃない。一番下まで沈んじゃったんだから、底を蹴ったら少しは上に向かえるかもしれないって思えたらいいよね。
大した夢じゃなくていいんだよ。ちょっと楽しいことが思い付けたら、それだけでいいんだって気がする。
だってさ、あいつは最後の最後に、あんなに必死な顔してペンを拾ってくれたんだよ。
だからさ、あいつはいつも隣にいてくれたってことを忘れないよ。
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