『さよならの向う側 i love you』 清水晴木
亡くなった人がやってくる乳白色の空間には案内人が待っているのですが、いつもとは様子が違います。案内人の任期がそろそろ終わり、代わりにこの仕事をしてくれる別の人を探しているようなのです。彼にもそういう時期が来たのです。この仕事をやり遂げたら、愛する人と同じタイミングで生まれ変わることができることになっているのですから。
自分が死んだことを知らない誰かに会いに行く24時間に、どんなところへ行くのか?誰に会いに行くのか?それはその人の自由ですけど、そういう選択肢もあったのかと驚くことをする人がいたのです。
この4篇が収められています。
第一話 月の光
大林さんは、最後に「パミリア」に会いに行くことにしました。パミリアはスマートスピーカーなのですが、彼にとって唯一の話し相手だったのです。
第二話 明日への手紙
お母さんが急死してしまい、余りに突然すぎていろんなことが決められずにいました。
第三話 i love you
常盤と如月は、野島崎灯台へ行きたかったのです。
第四話 糸
常盤と如月のこれからのこと。ペイフォワードの大事さ。
この本を読んでいて、友人の話を思い出しました。その友人が、ある日タンスの引き出しを整理していたら、お父さんからのはがきが出てきたのだそうです。そこに書かれた字を見て、お父さんに長いことあっていないなぁって思っていたら、電話が鳴って、それはお父さんが亡くなったという連絡だったのです。もしかしたらこのお父さんは、さよならの向こう側からやってきて、最後のお知らせを遠くに住む息子のタンスの引き出しに入れていったのかもしれません。
いつか死ぬということは決まっています。でも、いつ死ぬのかはわかりません。
死ぬ前に言いたかったこと、やりたかったこと、そのための24時間をどう使うのか?わたしならどうするでしょうか?
#さよならの向う側 #NetGalleyJP
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