『何とかならない時代の幸福論』(再読)ブレイディみかこ 鴻上尚史
(ブレイディ)今回のロックダウン中に息子の学校から出るオンライン授業の課題がすごいんですよ。ちょうどロックダウンに入る直前に、国語の授業でジョージ・オーウェルの「動物農場」を読んでたらしいんです。
それでロックダウンに入ったら、その「動物農場」に習って、動物を主人公としたロックダウン化にある社会のアレゴリー(寓意、たとえ話)を書いて来いという宿題が13歳と14歳のクラスに出るわけですよ。その時にちょうど話題になってたのは、ジョンソン首相。ほら、彼は自分がコロナにかかったじゃないですか。
それであの方、退院後に、自分が生死の境を彷徨っていいた時に二人の看護師さんが夜も昼もずっと一緒にいてくれたって感謝した。二人とも移民の方だったんですよね。一人はポルトガルで、一人はニュージーランドから来た看護師さん。ジョンソンさんと言えば、EU離脱を率いた人で、結構排他主義的なことを言ったりして問題になったりしたこともありましたが、その人がその二人を名指ししてどうもありがとうと感謝を口にして、これはすごいアイロニック(皮肉)じゃないですか。だからうちの息子によると、やっぱりそれについて書いている子が多いと(笑)。P189
こういう授業を受けている13~14歳って、日本だったら中学生でしょ。この年頃の子にこういうことを考えさせるって凄いと思うんですよ。小説を読んで、そこから自分が何を得るのか?そういう授業を受けたいなぁって真剣に思います。
そして、コロナとの闘いの中で、自分も感染してしまったジョンソン首相は、ある意味ラッキーだったと思うんです。だって、他人ごとではなく、自分のこととしてコロナを理解できたわけですもの。コロナで重症になったらどんなにつらいのか、入院患者を診てくれる看護師さんたちはどんなに大変なのか、理解した上での政治判断ができるって素晴らしい!きれいごとを並べているだけの、どっかの人とは大違いですよ。
移民への考え方もぐっと違ってきたのでしょうね。日本もこれからは移民をもっと受け入れなければならない状況になっています。そのためにはいろんなシステムをドンドン変えていかなければならないから、現実をちゃんと見ることが大事なんです。
外国から働きに来る人、観光に来る人、留学しに来る人、戦争などで母国で生きることができなくて日本に来る人、ホントに様々な人が日本で暮らすことになるのです。それは間違いない事実です。それに真正面から向き合っていけるようしなければならないのです。
きっと、一般の人たちはちゃんとやってくれます。わからないなりに真面目に頑張ってくれると思うんです。問題なのは政治と行政、変なルールをかざして、みんなの邪魔をしないでねって、心から思います。
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