『奇跡のミシン 天国の声、届けます』 清水有生
自分勝手な夫のことを嫌い、幼いみどりを連れて母親は離婚して、2人で今日まで東京で生きてきました。その母親が亡くなり、不況で仕事もなくなりハローワーク通いをしていたみどりの元に唐津に住んでいた父親が亡くなったという連絡がきたのです。でも、悲しいという気持ちも、後始末をしなければという気持ちもないみどりでした。
でも、どうしても来て欲しいという、父親の友人の不動屋さんの言葉を断り切れず、一度だけ行ってみることにしたのです。父が住んでいた家を見たらすぐに帰ろうと思っていたのに、父に世話になったという凪さんという若い女性に、父が頼まれていた仕事が残っているので、それを代わりにやってくれないかと頼まれてしまったのです。そんなもの、わたしが代わりにやる必要なんかないでしょ!とは思ったのですが、今は失業の身、時間はあるから、それだけ片づけちゃおうかなと思ったのでした。
父はテーラーを営んでいたのですが、近年は「遺品リメイク」の仕事をしていました。3件だけ依頼の品が残っているというので、父愛用の古い足踏みミシンを動かしてみると、不思議な声が聞こえてきたのです。
古いミシンのおかげで、みどりさんは父親のことをやっと知ることができました。そして、これからの自分の人生を切り開いていく道を見つけたのかなと思えるラストで、ホッとしました。
わたしの実家もテーラーだったので、ミシンが登場するシーンは、実家の作業場が頭に浮かんでいました。直線縫いのミシンと、オーバーロックミシン、アイロン、霧吹き、アイロン台、アイロン仕上げ用の馬、人台(スタン)、鋏、目打ち、針、糸、ものさし、チャコ、蝋、指ぬき・・・いろんなものがあったなぁ。
古い道具を使っていると、その道具を使っていた人のことを思い出したり、昔の写真を見ると、そこに映っている服で当時のことを思い出したりすることもあります。古い布を縫っているときにミシンが何かを教えてくれるってことがあってもいいかな?
現代のミシンはみんな電動になってしまいましたけど、足踏みミシンって便利なんですよ。だって電気がいらないんですもの。電気の供給状態が良くない地域では、まだまだ足踏みミシンが活躍しています。
わたしも、足踏みミシンが欲しくなってしまいました。
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