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『人は、なぜ他人を許せないのか?』 中野信子

人は、なぜ他人を許せないのか?

中野信子(なかの のぶこ)

アスコム

当り前のことですが、人間はそれぞれ違うものです。他人を「愚か」あるいは「優れている」と捉えようとすることは、異なっていて当たり前の他人に対して、自らの基準を無理に当てはめているだけに過ぎません。また、いくらこちら側が勝手に相手を自分の枠にはめたところで、相手がそのことだけで変わるはずもありません。したがって、誰かをバカだとか、頭が良いなどと定義しようとすること自体、意味をなさないのです。p101

 ネットでの誹謗中傷も、学校や職場でのいじめも、戦争も、いずれも他人と自分の考え方が違うという所から始まります。相手の考え方ややり方が気に入らないと思う人が攻撃を始めるところから、様々な問題が発生します。でも、相手のことが気に入らないというのは、あくまでも自分の考え方が真であるという前提です。

 そんな時、自分が正しいというのは誰が決めたのでしょうか。それは自分なのです。いやいや有名な先生がそう言っているからなんて反論する人もいますけど、「その先生が言っていることが正しいと信じている自分が正しい」と言っているだけなんだよってことに気づいてますか?と言うことなんです。

脳科学的に見ると、理性と直感が対立すると、ほとんどの場合、理性が負けるようになっています。p147

甘いカフェオレが好きだけどブラックコーヒーも好き、巨人も阪神も好きトランプは嫌いだけどアメリカ人は好き、韓国は嫌いだけどK-POPは好き・・・といったような、一見矛盾するような、一貫していないかのように見える混み合わせは、実は無数に考えられます。それを例えば言語的に表に出すか出さないかは違っていたとしても、本来人間は、特に一貫した好みや判断基準を持っているわけではないものだと言えるのです。p156

そもそも他者、そして自分自身にも一貫性を求めること自体、不可能なことなのです。人間である以上、言動に矛盾があるのは当たり前、過去の発言や振る舞いを覆してしまってもしょうがないのです。今は絶対的な真実と信じていることだって、いつかその間違いに気づく日が来るかもしれません。p209

 ダイエットのために甘いものを我慢しようと思っていても、やっぱり甘いものの誘惑に負けてしまうようなことは、よくあることです。理屈ではダメだとわかっている、でも感情がそれを打ち負かしてしまう。人間が人間らしく生きているからこそ矛盾が起きるのです。

 芸能人の不倫のように、自分には何の関係もないのにバッシングしたくなるって、本当は変な話なんです。自分が正しいと思っていることを誰かが破ったから怒っている。他人は他人、自分は自分と分けて考えられないから怒っている。自分だけが無理してルールを守らされているような気持ちになるから怒っている。ねぇ、変でしょ!

 人間は機械じゃないんだから、間違うのも、一貫性がないのも、しょうがないんです。

 自分が気がつかないうちに守らされていると思い込んでいることをよーく考えてみると、実は誰からもやってねなんて言われてないことばかり、要するに自粛していることばっかりなんです。

 自分が正義だと勝手に思う人もいれば、自分は役立たずだと勝手に思う人もいます。他人にバッシングするのと同じように、自分をバッシングしている人もいます。

 「他人に正義の制裁を加えることで脳の快楽中枢が刺激されドーパミンが放出される」という人間の脳のクセがあるから、いじめとかバッシングが生まれるというということを、みんなが自覚しないと、こういうことは永久になくならないのです。

 他人を許せないということと、自分自身を許せないってことは同じことなんだけど、そこに気づけないからこそ苦しんでいる人たちが大勢います。

 正義中毒は、自分を殺してしまうかもしれない恐ろしいものなのです。

2460冊目(今年159冊目)

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