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『ひらめかない人のためのイノベーションの技法』 篠原信

ひらめかない人のためのイノベーションの技法

篠原信(しのはら まこと)

実務教育出版

「どうせ」を「どうせなら」に変える p42

 「どうせやってもダメだから」という気持ちを持ってしまったら何にも始まりません。何か問題を見つけたら「どうせなら、ここまでやっちゃえ」と考えるって凄い発想ですね。ナイチンゲールが、当時衛生状態が良くない状態で仕事を行っていることに疑問を持ち、「どうせなら徹底的にきれいにしよう」と考えて、看護師の制服や患者さんのシーツや布団を清潔なものに変えたという話を初めて知りました。

 何かを始めるのに、現在の状況のままではやりにくいなら、徹底的に変えてしまうというのは、ある意味逆転の発想なのですね。例えば「忙しくて自分のための時間が持てない」と思うなら、自分のための時間を先に設定してしまって、それに合わせて他のことをすればいいということなのかしら?

「知っていること」と「知らないこと」をはっきり区別する p136

 たとえば、ワイシャツはクリーニングに出さなきゃって思っている人にとって、形状記憶のシャツなら自宅の洗濯機で洗って、ハンガーにかけて干して、そのままクローゼットにしまえばOKだよって知った時のショックは大きいでしょうねぇ。知ってしまえば実に簡単なことなんだけど、知らないことがたくさんあります。

 自分が「普通」と思っていることが、もう賞味期限切れの知識だって気づくためには、何が必要なんでしょう?やっぱり自分を疑ってみることなのかしら?

 

失敗や余計なことを喜ぶ p174

 この頃「コスパ」とか「タイパ」重視の若者が増えてるっていうけど、それって危険な気がするんです。だって、失敗や寄り道のない人生なんてありえないじゃないですか。なのに、いつでも正解を最速でなんて思っていたら、息苦しくならないのかしら?失敗してみて初めてわかることとか、余計なことをやってみたらそちらの方が面白かったとか、そういうところに発見があると思うんだけどなぁ。

 

歳を食えば、若者がどんなことで悩んでいそうか、見当がつくはず。そこで自慢話をするのではなく、悩んで気が弱くなった経験談をしてあげて欲しい。それが若者の心をほぐし、勇気づけ、アイディアを考えるゆとりを生む。 p259

 今は高齢者の方が多くて若者が少ない時代なんですよね。人数で圧倒しているだけでなく、発言や行動でも若者を威嚇してしまっていないか?ということを考えるのが今時の高齢者の仕事なのです。自慢話や「あのころは良かった」みたいな話は聞きたくないんです。わたしも若い頃にいろいろとやらかしちゃったんだよって話の方がずっと面白いのよって気づかないとね。

 

 ちょっと考え方を変える、ちょっと視点を変える、知らないことを知ることに喜びを感じる。その積み重ねがイノベーションにつながるのかもしれません。

2472冊目(今年171冊目)

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