『レインコートを着た犬』 吉田篤弘
「つむじ風食堂の夜」「つむじ風食堂と僕」「それからはスープのことばかり考えて暮らした」の舞台となった月舟町のもう一つの物語。
私もかねがね、疑問に思っていた。レインコートを着た犬に。
何度も云って申し訳ないが、私はこう見えてタフな犬である。私が、というより、犬と言うものはもともとタフなのである。それが、いつからこんなことになってしまったのかー。(本文より)
こうつぶやく犬の名はジャンゴ、飼い主である月舟シネマの直さんが好きなギタリストのジャンゴ・ラインハルトから頂いた名前らしい。
ジャンゴは、いろんなことを思い悩んでいます。自分は犬だから人間が言うことはわかるけど、ことばで返事ができないこと。態度や表情だけでは相手に気持ちが正しく伝わらないこと。人間の言葉がわかるからといって、難しいことまでわかるわけではないということ。この町の人たちは自分のことを知っているから首輪やリードなしで町中を歩くことができるけど、銭湯や図書館には入ることができないこと。
そして、犬とはタフな生き物であるのに、レインコートなんか着せられているのを見ると、そんな風にはなりたくないって思っているのです。
この町に住む男たちは、ジャンゴとどこか似たような気持ちの人が多いのです。本当は繊細な人なのに、本当は優しい人なのに、むさくるしい感じの男を演じようとしているのです。
わたしの大好きなギタリスト「ジャンゴ・ラインハルト」の名前を登場させるなんて、吉田さんありがとう!っていう気持ちです。「ルシアンの青春」をはじめ、多くの映画で彼の演奏を聴くことができます。そして、彼自身の伝記映画「永遠のジャンゴ」も素晴らしい作品です。
ジャンゴのギターを聞きながら、もう一度この本を読み直してみようと思います。
2465冊目(今年164冊目)
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