『書店主フィクリーのものがたり』 ガブリエル・ゼヴィン
書店主フィクリーのものがたり
The Storied Life of A.J.Fikry
ガブリエル・ゼヴィン
Gabrielle zevin
小尾芙佐(おび ふさ)訳
早川書房
2016年 第13回本屋大賞、翻訳小説部門第1位
米国
一万円選書 の中の一冊
マサチューセッツ州のハイアニスからフェリーでアリス島へと向かうアメリアは、そこで出会うことになる A.J. フィクリーのことを何も知りませんでした。だって、前任者が突然亡くなってしまって、代わりに行くことになったんですもの。第一印象はとにかく偏屈、出版社の営業であるアメリアの話をちっとも聞いてくれない。なのに、何年かするうちに親しくなれるなんて、夢にも思っていなかったでしょう。
本屋がない町なんて町じゃないという思いで、A.J.はこの町で唯一の書店「アイランド・ブックス」を愛する妻と二人で営んでいたのに、突然彼女が亡くなってしまって、すっかり生きる意味を見失ってしまっていたんです。そんな彼の店に、なぜか2歳の女の子「マヤ」が置き去りにされていたんです。みんなは彼女を施設に送ろうかと相談していたのですが、突然 A.J. が言い出したんです。「この子を自分の娘にする!」
マヤと一緒に暮らすようになって、A.J.の生活はガラッと変わりました。自分の人生にあかりが灯ったような気持ちになったのです。友人たちもホッとしました。これで奴は前を向いて生きて行けると。
アリス島は架空の地名のようなのですが、ハイアニスからフェリーに乗るということは、ケープコッドからほど近い島ですね。夏には観光客が大勢訪れる場所だということが話の中にも出てくるので、なかなかステキな場所だということが想像できます。
書店回りをする営業をしているアメリアが、A.J. と少しずつ仲良くなっていくのだけど、そんな2人をマヤはきっと「大人ってめんどくさいなぁ」って思ってたんでしょうね。
夏にアイランド・ブックスで、本の著者を呼んで行われた朗読会やサイン会っていいですね。行ってみたいなぁ。
2451冊目(今年150冊目)
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