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『咳をしても一人と一匹』 群ようこ

咳をしても一人と一匹

群ようこ(むれ ようこ)

角川文庫

#カドブン夏フェア2022

 群さんが飼っている猫「しいちゃん」は、猫だから当然といえば当然なんですけど、超マイペース、超自分ファーストな女王様気質の猫です。食べるものも、寝る場所も、いろんなことを試行錯誤しているのに、しいちゃんは「こんなのいらない」って知らん顔だったり、夜中に突然起こしに来たり、群さんはいつも振り回されっぱなし。

 性悪な女王様にこき使われる乳母になってしまった群さんですけど、毎日大変~!という割には嫌がっていないから、実はMな性格な方ではないかと推察してしまいます。

 毎日しいちゃんのご機嫌をうかがいながら暮らしているから、群さんは一人暮らしという実感が余りないのでしょうね。

 

 尾崎放哉(おざきほうさい)の「咳をしても一人」は、なんとも言えない孤独を感じる句ですけど、猫が一匹いるだけで孤独感は全くなくなってしまうのですね。

 

 高齢のしいちゃんですけど、長生きして群さんを寂しがらせないでね。

2480冊目(今年179冊目)

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