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『東京ロンダリング』 原田ひ香

東京ロンダリング

原田ひ香(はらだ ひか)

集英社文庫

 アパート・マンション・そして戸建てでも、その物件内で自殺や事故死などが発生した場合、そこに入居するのをためらう人が多いために、賃貸や売買などができなくなってしまう場合があります。最近は、部屋以外(たとえ病院であっても)で亡くなった場合でも、その物件の持ち主が死んだというだけで事故物件扱いされてしまうこともあるのだそうです。

 

 りさ子さんは離婚した後、安い賃貸物件を探していました。そんな彼女に賃貸物件のロンダリング(浄化)の仕事をしないか?という声をかけたのは相場不動産という小さな不動産屋さんでした。みんなが嫌がる物件に1か月住んでくれれば、その次に貸すときに事故物件ではないということになるというのです。家賃はもちろんタダ、おまけに日当として1日5000円もらえるという条件で、りさ子さんはこの仕事を受けることにしました。

 離婚後、人との付き合いが嫌になってしまったりさ子さんにとって、この仕事はありがたいものでした。人によっては気持ち悪いという部屋に住むことに違和感はないし、少ないけれど収入になるし、様々な物件に移り住む生活も、しがらみができなくていいなぁって思っていました。

 

 業界で「影」と呼ばれるロンダリングの仕事、きっと本当にあると思います。そして、機会があったらわたしもやってみたいなと思います。最小限の荷物しか持たず、東京と東京近郊の町を転々としていくっていう生活は、一生できる仕事ではないけれど、数年だったら意外と楽しめそうな気がするのです。

 りさ子さんは、色々な物件を渡り歩くうちに、少しずつ自分の道が見えてきたのかもしれません。そして、もうすぐこの仕事を辞める時が来るのでしょうね。 

2486冊目(今年185冊目)

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