『東京日記3 ナマズの幸運。』 川上弘美190
この日記に書いてあることのうち、以前は五分の四くらいが本当のことだったのですが、ほんとうのこと率は年々上がっているようで、この巻では十分の九くらいに上昇しました。(あとがき より)
夢の話とか、家の前の道で出会う人のこととか、いろんな変なことが書き綴られているこの日記ですけど、九割が本当のことということは、川上さんはかなり変なことに気づきやすい方なのではと思います。
ほら、目の前を通り過ぎる変な人に自分は気づいているのに、隣を歩く友人は全然気がついていないなんてことあるじゃないですか。
変わった光景を見てしまうことが、わたしにもあります。
・代々木公園のそばで、キャンディキャンディのコスプレ(ピンクのワンピースと髪にリボン)のおじさんがスクーターで通り過ぎて行った
・うちの近所の犬がチューバッカそっくりだった
こういう出会いって楽しいです。
一番シュールだったのは
・新宿駅東口近くの路地で自転車のサドルに空飛ぶポーズで乗ったタイガーマスクのおじさんとすれ違った
・数年後、伊勢丹新宿店の催物会場で、自転車に乗ったタイガーマスクのおじさんがエレベーターから降りてくるところを見た
だから、川上さんがこの本に書いている不思議なシーンの数々のほとんどがホントのことだろうなぁって思えるのです。そして、本当っぽいことの方が嘘なんじゃないかとも思うんです。
他人からは妄想だと思われそうなことが本当に起きたときに、あれは見なかったことにしておこうって思うか、面白いから日記に書いておこうって思うか、それだけの差なんじゃないかしら?
2491冊目(今年190冊目)
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