『読む薬 読書こそ万能薬』 五十嵐良雄 日本読書療法学会 監修
ノンフィクションを読んだとき、大衆小説を読んだとき、名にも読まなかった時と比べて、文芸小説を読むと、相手の心情や考えを理解する課題のパフォーマンスが向上することがわかった。
ノンフィクションとは違って、フィクションは現実世界まで読者を追っては来ない。だから安心して、自分を守ることなく感情を経験することができる。
また、フィクションは読者自らが想像をして読むため、批判的に読む傾向は低い。読者は自分の知識で物語を否定できない限り、その世界を受け入れる。従って、ノンフィクションの読者よりフィクションの読者の方が、物語に共感することで得られる効果がより大きいと思われる。p25
ノンフィクションの方が、それが本当なのかと懐疑的になる可能性が高く、フィクションの方がそれが作りものであると認識しているからこそ、かえって疑問が湧きにくく、物語に入り込んでいきやすいというのは面白いですね。フィクションだからこそ、そこで起きることを疑似体験しやすいのですね。
脳の働きは筋肉によく似ている。使わなければ、健康や強さは保てない。本を読むときには、たくさんのことを記憶しなければならない。たとえば登場人物、メインストーリー、細かい出来事などだ。
物語の進展はすべて、脳にとっては新しい記憶となるので、新しい神経ニューロンが作り出され、すでに存在しているニューロンは強化される。
青年期と中年期に知性を刺激することは、高齢期のアルツハイマー病の絶対的な予防策ではないにしろ、アルツハイマー病の発症を数年間遅らせる可能性は高いだろう。p57
物語がどう展開していくのかを想像したり、景色を思い浮かべたり、主人公の気持ちになって笑ったり、泣いたりすることで、物語を楽しみ、脳に新しい刺激が与えられ、それが脳を活性化します。あら、いいことだらけじゃないですか!
読書の習慣を身につけるということは、人生のほとんどすべての苦しみから逃れる避難所を自分のためにつくるということだ。by サマセット・モームp151
読書することで、人生が豊かになり、脳が鍛えられ、人生の苦しみから逃れられる。こんなに素晴らしいことを自分は日々やっているのだと思うと、妙に嬉しいです。
2500冊目(今年199冊目)
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