『考えて生きる』 成毛眞 ひろゆき 213
成毛:東京工業大学のグループが「東日本大震災の津波被害における神社の祭神とその空間的配置」を調査したところ、自然災害を収めるスサノオを祭る神社の被害はほとんどなかったようですね。神社は数百年から1000年単位で続くものもあるので「歴史の古い神社は天災に強い説」は割と信ぴょう性があると思いますよ。
ひろ:なので、答えとしては、昔の地形とかハザードマップを参考にして、土地が安定しているところを選ぶってことですかね。でも、そういう土地は高いので、賃貸の方がいいんでしょうけど。(p24)
日本は自然災害が多い国ですから、自分が住む場所を選ぶときに大事なのは、どこが被害に遭いにくい場所なのかであるはずです。そして、長く住むなら当然メンテナンスにもお金がかかるので、そこの部分も計算に入れなければなりません。でも、多くの人はそんなことも考えずにタワーマンションに住んだりしてしまうのは、何故なんでしょうねぇ?
このお二人の考え方はとても具体的で、職住接近がいいとか、メンテナンス費用のことを考えたら賃貸の方がいいとかの話をしているのですが、最終的に自然災害の影響を受けにくいのは古くからあるスサノオを祭る神社のそばがいいという話になってしまう所が面白い!
成毛:僕のフェイスブックの投稿を見た人から、「成毛さんはいろんなことを知ってますね」と言われることがあるんですけど、そこに書いているのは意外と前日に見たテレビの内容だったりする(笑)。でも、みんなテレビを見てないから、僕は自動的に物知りキャラになる。
ひろ うは、現代っぽい(笑)(p72)
ひろ 今回のテーマは、編集部のリクエストで「自分の頭で考える方法」です。
成毛 僕がやっている方法はシンプルです。評価の高いちゃんとした本を読んで、その本の内容を受け売りするだけ。
ひろ シンプルっすね(笑)
成毛 でも、これを10年も繰り返していると「成毛さんは言っていることがちゃんとしている」と評価してもらえますから。(p86)
誰でも買って読むことができる本やテレビから情報を得ているだけなのに、「さすが、成毛さん」という評価を受けるのは、情報の取捨選択が正しいからなのでしょうね。そして、情報をただインプットするだけでなく受け売りするという形でアウトプットするからこそ自分のものになるというのが面白い!
ということは、自分の頭で考えられるようになるには、まずは成毛さんが面白いよという本を読んで受け売りしてみたらいいんじゃないかしら。そうすることで知識が蓄積されていきます。そこから生まれる自分の考えは、決して成毛さんと同じになるわけではないということを実践してみるのは、とても面白い実験だと思うんです。
この対談を読んでいて感じたのは、ひろゆきさんのステキさの根源は「率直」だということです。わからないことは、単純にわかりませんと言えるし、成毛さんから聞いた話が面白いと思えば「スゲー」と驚いたり、それって○○ですよねぇってリアクション出来てしまいます。無駄に自分を卑下するわけじゃないし、俺ってすごいだろうっていうわけでもなく、スタンスがいつも自然体だというところがいいなと思うんです。
とはいっても、ただ頷いているわけじゃなくて、相手の言葉の裏側には何があるんだろうっていつも考えていて、こっちはどうなってるんですか?と鋭いツッコミを入れるところがタダモノじゃないんですけどね。
お二人とも、考えるということにいつも真剣に向き合っているからこそ、こういう面白い対談が成立するんだなって思いました。
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