『銀河鉄道の夜』 宮沢賢治 229
宮沢賢治の本を初めて読んだのは小学生のとき、いとこから「風の又三郎」の本をもらって、その中に「よだかの星」が入っていました。よだかは、鷹に似ていて夜に活動するから「よだか」という名前になったけれど、姿が醜いからみんなから蔑まれているという話がどうにも悲しいなぁと思った記憶があります。
久し振りに「よだかの星」を読み直してみて、やっぱり悲しいなぁと思います。ただそういう姿をしているというだけで他人から酷いことを言われるなんて、あんまりです。だけど今回気づいたのはよだか自身が、決意をもって空高く飛んだんだなということ。だからお星さまに慣れたんだということ。
「銀河鉄道の夜」のジョバンニも、お父さんが遠くへ行ったまま帰ってこないということだけで、同級生から冷たい言葉を投げつけられています。何度同じことを言われても、無視し続ける彼ですけど、本当はものすごく傷ついていたのでしょう。
ジョバンニを乗せた銀河鉄道は、今まで見たことのない景色の中を走り続けます。隣の席に座ったあの子たちは、サウザンクロスで降りました。あそこは天国への入口だったのでしょうか。カンパネラはあそこで降りなかったのに、何故いなくなってしまったのでしょう。
どの物語も、不思議な気持ちになりますね。今夜、空を見上げてよだかの星を探そうと思います。
- おきなぐさ
- 双子の星
- 貝の火
- よだかの星
- 四又の百合
- ひかりの素足
- 十力の金剛石
- 銀河鉄道の夜
2530冊目(今年229冊目)
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