『心の整えかた トップアスリートならこうする』 田中ウルヴェ 京 230
著者はシンクロナイズスイミング(アーティスティックスイミング)のペアで銅メダルを取ったことがあるアスリートでした。その後コーチ職に就いたのですが、これまでの経験を生かして技術的な指導はできるけれど、メンタル面の指導の方が大事だと気付き、メンタルヘルスやメンタルタフネスに関する勉強をされ、現在はメンタルに関する指導をするお仕事をされています。
スポーツ選手だけでなく一般企業の方の指導をなさることもあるそうですが、メンタル面の問題とは、実は本人がそれに気づいていないことが多いというのが問題のようです。
ここで大切なことは、目標達成までの「感情や思考の気づき」です。目標を達成させることは大事ではありますが、それよりも大事なのは、そのプロセスで「本当の自分の感情や思考に気づくこと」です。だんだん「めんどうくさいな」と思ってきたら、「だんだんめんどうくさいと思ってきた」と書き出し、「なぜめんどうくさいと思う自分がいるんだろう」と自問して、答えを書き出す。それを繰り返していきましょう。「自分の心との対話」を書き込んでいくことで、そのノート自体が「自分ならではの人生を作っていくためのヒント」がたくさん詰まった貴重なものになるはずです。(p219)
「この先、自分はどうなっていくんだろうと思うと、不安で仕方ありません」といった希望の言葉が多いものです。こうしたお悩みに対する私の答えは1つです。「今日からは、自分でコントロールできることしか、コントロールしないことに決めてみてください。未来がどうなるかは、今の自分にはコントロールできません。できるのは、今日の自分が未来のためにどうするか、です」(p218)
例えば、部下がやる気がなくて困ると思っている上司の場合、そういう状態になってしまったプロセスをたどっていくと、「部下が分かりやすいように指導しているのだろうか?」「部下は一生懸命にやっているのに成果が出ないだけではないのだろうか?」などの問題が浮き上がってきます。そして「部下に対して”どうせあいつは”という思い込みを持っていないか?」「上司である自分が部下をうまく使いこなせていないのでは?」というような視点も見出せるのです。
「問題は外にあるのではなく、自分の中にある」という発見こそが、メンタルトレーニングの重要な部分なのです。問題が外にある場合にはどうにもできないかもしれないけど、自分の中にあるのなら、対処法があるはずなのです。それを無理やりなくそうとするのではなく、自分にそういう感情があるということを知ることがポイントなのです。
そして、自分の考え方のクセを知り、それが他者を見る時のフィルターになっていないか?自分を過大評価したり、逆に過小評価したりしていないか?「自分を再発見する」ことで、無駄なストレスが減るはずなのです。
自分の自己評価と他人からの評価を比べてみたり、自分の頭の中にあることを書き出してみたり、メンタルトレーニングは今から始められるものなんだということがよくわかりました。
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