『どろろ 1』 手塚治虫 212
自分の欲のために、これから生まれてくる子どもの身体を鬼たちに捧げてしまった百鬼丸の父親。そのために百鬼丸は身体の48か所がない状態で生まれ、こんな子供は育つはずがないと捨てられてしまったのです。そんな彼を救ってくれたのは、一人の医者。この子が目モ口も耳もないのに自分に心で思いを伝えてくることを知って、最大限の愛を注ぎ、人間としての姿を作ってくれたのです。
どろろは親子3人で幸せに暮らしていたのに、仲間の裏切りで父親が死に、一緒に逃げた母親も死に、たった1人で生きてきたんです。泥棒をしたりして、しょうもない悪ガキだと言われても、そうやって生きてくるしかなかったのです。
親もなく、身体に障害があっても、誰も助けてくれない世の中を必死に生きています。だから彼らは困っている人を助けようとします。命がけで助けたのに、助けられた人たちから「あんたたちは気味が悪い」「よそへ行け」と言われてしまうのが悲しい。
ブラックジャックにも通じる、人間の冷たさをジワジワと感じます。
でも、彼らのことを助けてくれる人も何人かはいます。そういえば、百鬼丸に刀の使い方を教えてくれた白杖の人は、ブラックジャックにも登場していましたね。
つらい人生だけれど、優しいお母さんの記憶があるどろろは幸せなだったのかな?
親からは見放されたけれど、一人で生きて行く術を様々な人から教えてもらえた百鬼丸も幸せだったのかな?
- 発端の巻
- 百鬼丸の巻
- 法師の巻
- 金小僧の巻
- 万代の巻
- 人面瘡の巻
- 無残帳の巻
- 妖刀の巻
- 解説 荒俣宏
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