『ショパンとリスト』 高野麻衣 228
ショパンとリストが同じ時代の人だったのですね。2人とも偉大な作曲家であるという認識はあったのですが、ショパンが書いた曲をリストが演奏したことをこの本で初めて知りました。ショパンは「ピアノの詩人」と呼ばれた人ですが、ジョルジュ・サンドとの出会いがなかったら、もっと若いうちに死んでいたかもしれません。
一方、リストはほとんどの曲を初見で完璧に弾きこなす天才ピアニストでした。そんな彼がショパンのある曲だけを初見で弾けず、数週間特訓したという話は、この2人の関係性に大きな影響を与えたのでしょう。リストはショパンをたたえ続け、ショパンはそんなリストがちょっと煩わしいという気持ちを持っていたのかもしれません。
2人とも音楽家として成功し、ヨーロッパ各地で音楽活動を行いながらも、大国に翻弄される祖国(ショパンはポーランド、リストはハンガリー)のことを思い悩み続けていました。2人が活躍した19世紀にもロシアがヨーロッパに手を伸ばしてきていたことが物語の中でも語られています。
ショパンとリストの友情、あるいは愛情というべきかもしれない思いが書き綴られたこの物語、フィクションであることは分かっていながら、でも、こんなことがあったのかもしれないと思わせる何かがあるのです。とはいえ、思いっきりBLっぽいこの作品、好き嫌いが大きく分かれるだろうなぁ。
リストの「愛の夢」を聞きたくなりました。
2529冊目(今年228冊目)
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