『鍵のない夢を見る』 辻村深月 254
若い女性って傍目からはキラキラしているように見られているけれど、本当にキラキラしている子はそんなにいないのよね。グループのリーダーの子にくっついていくことで辛うじて自分の場所を確保している子もいれば、世間と上手くやっていけないことを必死に隠している子もいるのよ。
若いころは結構モテたはずなのに、気がついたら30歳を超していて、妄想で膨らませていた自分の人生が急にしぼんでしまったり。つき合うまではカッコいいと思っていた彼が実はただのワガママ男だったり。ステキでおしゃれな毎日なんて、どこにあるのよ?って、ブツブツ言ってる女性の気持ちが、そこかしこにちりばめられているのが、この本の凄いところ。
「しあわせは いつも じぶんの こころが きめる」という、相田みつをの詩が出てくるところもいいなぁ。ホントは幸せなはずなのに、それを幸せと思わないのは「じぶんの こころが きめる」からなのよね。こういう心の動きを捕らえるのが上手いのは、子ども時代に人間関係で悩んだことがあるからかしら?ジワジワっと伝わってくる負の心理が怖いけど、面白かったです。
この5篇が収められています。
・仁志野町の泥棒
・石蕗南地区の放火
・美弥谷団地の逃亡者
・芹葉大学の夢と殺人
・君本家の誘拐
2555冊目(今年254冊目)
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