『あずかりやさん』 大山淳子 257
東京の下町にある商店街「朝日町こんぺいとう商店街」にその店はあります。物静かな店主が店番をしている「あずかりや さとう」では、どんなものでも1日100円で預かってくれます。「ただし、約束の期日を過ぎてしまったら、その品物はわたしのものになりますが、それでいいですか?」と聞かれます。それが嫌な人は預けずに帰ればいいのですが、そういう人は滅多にいません。
最初から預けるのではなく不用品処理のつもりでこの店に物を持ち込む人も時々いますけど、店主はそんなことを気にしてはいません。ほとんどの人は約束の日までに預けたものを取りに来て、「預かってくれて、ありがとう」といって帰ります。
この物語が面白いのは、語り手が人間ではないからかもしれません。お店ののれんや、猫や、時には預けられたものが語る、この店の主人とものを預けたお客様の物語は、どれも心の琴線に触れるものばかり。
今のところ、わたしが預けようと思うものは思い当たらないけれど、一度この店へ行ってみたいなぁと思います。そして、あのオルゴールの音を聞かせてもらいたいなと思うのです。
この7編が収められています。
・あずかりやさん
・ミスター・クリスティ
・トロイメライ
・星と王子さま
・店主の恋
・エピローグ
・ひだりてさん
栃木県、埼玉県で多くの書店を展開している『うさぎや』さんという書店がこの本を紹介し、大ヒットにつながったのだそうです。こういう話ってとても嬉しいですね。
2558冊目(今年257冊目)
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