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『ルポ 女性用風俗』 菅野久美子 255

ルポ 女性用風俗

菅野久美子(かんの くみこ)

ちくま新書

 男性が風俗へ行くということは、いわば当たり前のように思われている感じがするのですが、女性がということになると急に「特別なこと」と思われがちなのは、やはり過去の価値観のせいなのでしょうか。

 男性の場合は肉体的な快感のために風俗へ行くということがメインなのに対して、女性が風俗へ行くのは「精神的な問題の解消」が多いというのが衝撃的でした。家庭でDV被害に遭っていたり、そこまでひどくないにせよ夫から女扱いされていないという失望感、家庭以外の人と関わっていないという孤独感を埋めたくて、風俗へ通う人がいるのです。独身女性でも、パートナーがいない寂しさを感じていたり、とにかく処女を捨てたいと思ったり、様々な心の渇きを何とかしたいと思っている人がいるのです。

 

 女性用風俗で、女性の相手をしてくれる男性は「男娼」ではなく「セラピスト」だということを、この本で初めて知りました。もちろん「男娼」を買う人もいますけど、それよりも「セラピスト」にお金を払う人が多いというのが衝撃です。セラピストは女性の性の問題のほとんどは「精神の問題」か「付き合っている男性の問題」だということを理解させてくれるのです。

 自分を不当に卑下している精神構造や、男性本位の性に対する考え方が女性に与えている無駄なストレスが「女性用風俗」が増えている理由なのだということがよくわかりました。

 

ほら、地方って車社会だから全部車で移動するじゃない。相合傘も手を繋ぐというデートもしたことがないの。だから手をつないで相合傘をした時は、思わずキュンキュンしたよね。p86

 男性と相合傘で歩いただけで、こんなに嬉しかったんです。今までこんな気持ちになったことないなぁってことを、レンタル彼氏とデートした時に彼女は初めて気づいたんです。

 女性のことを、なぜ男性はこんなにもわからないんだろう?ということが、この本の中で沢山紹介されています。どうしてそんなに鈍感なんだろう?相手を観察するとか、感じるとか、聞いてみるとか、どうしてしないんだろう?ということばかり。

 手も繋いでくれない、気に食わないことがあるとすぐに手を上げる、幼い子供のような男たちに失望している人もいれば、自分のようなブスは男性とは付き合えないと諦めている人もいます。どうしてそんなことになってしまうの?と悲しくなってしまう現実が沢山あるのです。

 

 巻末の宮台真司さんと菅野久美子さんの対談では、とても大事なことを話しています。

まず、女の人が性に乗り出せなくなっている理由が二つあると思います。一つ目は分かりやすいところですが、「性教育の不全」です。学校の性教育は「生物学」が専らで、「性愛教育」からは程遠い状態です。とりわけ1990年代末からは日本会議系の圧力によって、妊娠の不安・性感染症の不安・将来を棒に振る不安を教える「不安教育」になっています。子どもたちに性愛への怯えを植え付けているのです。(宮台 p208)

女風に女性たちが乗り出していった理由のかなりの部分を占めるのも、実社会に「まともな男がいない」ことでした。だったら買うしかないよね、と言うことになるのも自然なことですよね。(菅野 p216)

 

 「石田衣良の大人の放課後ラジオ」で取り上げられていたこの本を読んでみました。男尊女卑についていろいろと語られることが多い昨今ですけど、性に関しての女性の声というのは世間で取り上げられることがほとんどありませんでした。もしあったとしても「はしたない」とか「下品」とか言われるだけで、真剣に聞いてもらえることはありませんでした。

 宮台さんがおっしゃっている「性教育の不全」はとても大きな問題です。これに関しては「あの宗教団体」の差し金であったと、最近報道されています。それによって「知るべき知識」を知らないまま大人になってしまう人を増やしたというのは、とても酷いことだと思います。

 こんな日本に誰がした?という疑問は、益々大きくなっています。

2556冊目(今年255冊目)

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