『虎のたましい人魚の涙』 くどうれいん 292
いつも行く本屋さんで「サイン本」と書かれたこの本を見つけてしまって、思わず買ってしまいました。れいんさんのサインよりも落款の方が気になってしまって、こんなカッコいいのを作るんだから、れいんさんはセンスいいじゃんと思ったのです。
ようやく、自分の人生は自分で決めて自分で何とかしなければと思い始めているのだ。働かなければいけない。書かなければいけない。暮らさなければいけない。そう思うことでどうにか毎日をイヤイヤやりこなしていても、本当はひとつも「なければいけない」ことなんかない。今すぐ会社に行かなくなったっていいし、一生原稿を書かなくたっていいし、ゴミだらけの部屋でポテトチップスだけ食べて生活したって全く構わない。自由だ。いまの生活はその自由からすべて自分が自ら選んで引き受けたのだから、いつ手放したって良い。そして、選ぶも選ばないもすべてわたしのせいなのだ。そう思うと時折、おなかの底から輪郭のない不安がこみあげてくる。(本文より)
どっちもやりたいけど、どっちかを選ばなければならないとき、悩むよねぇ。わたしは両方取りたいんだって思っちゃうんだよねぇ。でもさ、両方を完璧にやろうなんて無理なんだって納得することが難しいのよね。それを悩みだしたら眠れなくなっちゃう。不安になっちゃう。ドカ食いして太っちゃう。
れいんさんは、もの凄く真面目な人なんだろうなぁ。あっちもこっちも、ちゃんとやりたいって思ってしまって、つらくなってしまったんだろうなぁ。友達から「あの時はこわれていたから」って言われてしまうくらい思い詰めてたんだろうなぁ。
ふとした時に「キートン山田」の声が聞こえるというという日常。あの声に励まされてたんだよねって思うということは、やっぱり大変だったんだよね。あの声で「そうなのである」と肯定してもらうことで、何とか凌いでいたんだよね。
とはいえ、おいしそうな食べ物の話が多くて、この本を読んでいるとお腹すいちゃうなぁ(笑) サイゼリヤのミラノ風ドリア食べたいよ~
2593冊目(今年292冊目)
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