『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』 岸田奈美 277
お父さんが小学生のときに亡くなってしまった。おかあさんは病気で車椅子生活になってしまった。弟の良太くんはダウン症。これだけ聞いたら、この3人家族が幸せだって思える人がどれだけいるかしら?
でも、3人はとっても幸せに暮らしているんです。
何かをやろうとして、それは無理だって思うとき、人は何を根拠にしているのかしら?自分にはないものを理由に挙げてしまうのは何故なのかしら?できない理由ばかり考えてしまうのは、怖いから?それとも面倒くさいから?
どうしてもそれをやりたいと思ったら、やってみればいいんだって、この家族は気がついたんです。やってみると、意外とできちゃうことが多いということに気がついたんです。
もちろん、大変なこともあります。もう歩けないとわかった時におかあさんは「死にたい」と言いました。よその人には気丈にふるまっていたけど、本当はすごくつらかったんです。高校生の娘にそんなホンネを言えたおかあさんは偉いなぁ。その言葉に「死んでもいいよ。だけど、なんとかしたいから時間をください」といった奈美さんも偉いなぁ。
ホンネで話し合える関係だったからこそ、本当になんとかなったのね。
弟の良太くんのことも心配ばっかりしていたけど、しっかりした子になったのよ。ひとりで買い物もできるようになったし、誰とでも仲良くなれるし、実はコミュニケーション能力がすごいのかもしれない!
この子はダメだなんて思ってた自分がはずかしくなっちゃう。
「人を大切にできるのは、人から大切にされた人だけやねんな」母はしみじみいった。
子どもの頃、弟ばっかり大事にして、わたしのことちっとも構ってくれない!と、おかあさんに抗議した時に、彼女はちゃんとわかってくれて、奈美さんのことを抱きしめてくれたり、褒めてくれたりするようになったんです。
おかあさんは、その時にわかったのね。あなたのことを大切に思ってるのよって、しっかりと伝えなければいけないって。
この本を読んでいる間中、とっても幸せな気持ちになっていました。とってもつらい話をしているときでも、悲しい話をしているときでも、なぜか「大丈夫だぁ」という気持ちでいることができました。
奈美さんが家族の話をするとき、そこにはいつも愛があるから、その愛が伝染してくるのかしら?だったら、嬉しいな。
そして、この本に添えられたあの3人の写真に、心をギュッと掴まれてしまいました。
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