ブログ内検索


  • ダメでもいいからやれ。
    体験もしないでお前ら、
    すぐに「ダメだ」って言うのは、
    学校で聞いただけの話だろう。
    やってみもせんで何を言っとるか
    (by 本田宗一郎)

読書Love!

  • 本が好き!
  • NetGalleyJP
    プロフェッショナルな読者
    グッドレビュアー 100作品のレビュー 80%

« 『長いお別れ』 中島京子 276 | トップページ | 『電鉄は聖地をめざす 都市と鉄道の日本近代史』 鈴木勇一郎 278 »

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』 岸田奈美 277

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

岸田奈美(きしだ なみ)

小学館

一万円選書 の中の一冊

 お父さんが小学生のときに亡くなってしまった。おかあさんは病気で車椅子生活になってしまった。弟の良太くんはダウン症。これだけ聞いたら、この3人家族が幸せだって思える人がどれだけいるかしら?

 でも、3人はとっても幸せに暮らしているんです。

 

 何かをやろうとして、それは無理だって思うとき、人は何を根拠にしているのかしら?自分にはないものを理由に挙げてしまうのは何故なのかしら?できない理由ばかり考えてしまうのは、怖いから?それとも面倒くさいから?

 どうしてもそれをやりたいと思ったら、やってみればいいんだって、この家族は気がついたんです。やってみると、意外とできちゃうことが多いということに気がついたんです。

 もちろん、大変なこともあります。もう歩けないとわかった時におかあさんは「死にたい」と言いました。よその人には気丈にふるまっていたけど、本当はすごくつらかったんです。高校生の娘にそんなホンネを言えたおかあさんは偉いなぁ。その言葉に「死んでもいいよ。だけど、なんとかしたいから時間をください」といった奈美さんも偉いなぁ。

 ホンネで話し合える関係だったからこそ、本当になんとかなったのね。

 

 弟の良太くんのことも心配ばっかりしていたけど、しっかりした子になったのよ。ひとりで買い物もできるようになったし、誰とでも仲良くなれるし、実はコミュニケーション能力がすごいのかもしれない!

 この子はダメだなんて思ってた自分がはずかしくなっちゃう。

 

「人を大切にできるのは、人から大切にされた人だけやねんな」母はしみじみいった。

 子どもの頃、弟ばっかり大事にして、わたしのことちっとも構ってくれない!と、おかあさんに抗議した時に、彼女はちゃんとわかってくれて、奈美さんのことを抱きしめてくれたり、褒めてくれたりするようになったんです。

 おかあさんは、その時にわかったのね。あなたのことを大切に思ってるのよって、しっかりと伝えなければいけないって。

 

 この本を読んでいる間中、とっても幸せな気持ちになっていました。とってもつらい話をしているときでも、悲しい話をしているときでも、なぜか「大丈夫だぁ」という気持ちでいることができました。

 奈美さんが家族の話をするとき、そこにはいつも愛があるから、その愛が伝染してくるのかしら?だったら、嬉しいな。

 そして、この本に添えられたあの3人の写真に、心をギュッと掴まれてしまいました。

2578冊目(今年277冊目)

« 『長いお別れ』 中島京子 276 | トップページ | 『電鉄は聖地をめざす 都市と鉄道の日本近代史』 鈴木勇一郎 278 »

日本の作家 か行」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 『長いお別れ』 中島京子 276 | トップページ | 『電鉄は聖地をめざす 都市と鉄道の日本近代史』 鈴木勇一郎 278 »