『 <自分>を知りたい君たちへ 読書の壁』 養老孟司 280
若いうちに「自分」が何者か、わかるわけがない。それなら「自分に合った」もクソもなかろう。私は四十歳過ぎで本を書き出して二十年あまり。六十五歳ではじめて本が売れた。六十歳で自分は何者かを尋ねられたら、著述業とはいわなかったであろう。著述はそれまで間違いなく私の余技だった。今でもそうだが、それでも作家といわれて、いまでは否定しない。「本当の自分」など、わかりはしない。それを昔から希望と呼んだのである。希望は自分の中にある。外の世界に転がっているものではない.p156
養老先生が読んだ本の書評を集めたこの本を読んでみようと思ったのは、その59冊の本のほとんどが、わたしが通常読んでいる本とは全く違うジャンルのものだろうと思ったからです。
実際、私が読んだことがあったのは「道程 オリバー・サックス自伝」「脳は回復する 高次脳機能障害からの脱出 鈴木大介」の2冊だけでした。
今まで知らなかった本についての養老先生の言葉は、どれも好奇心に満ちているのです。「こんなことを研究している人がいる」「こんなことを考えたこともなかった」、そういう発見を楽しんでいるのだなという気持ちが伝わってきます。時には「こんな本読みたくなかったんだけど」みたいなこともおっしゃるけど、でもそれについて知らずにいることができなかった。という言葉にドキッとするのです。
読書は、知らない世界へ導いてくれるものです。だから、この本で紹介されていた本を読むことで、また違う世界へ旅することができると、確信しています。
2581冊目(今年280冊目)
この本で紹介されていた本
・奇跡の脳 ジル・ボルト・テイラー
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