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『読書で自分を高める』 本田健 294

読書で自分を高める

本田健(ほんだ けん)

だいわ文庫

たくさん言葉を知らないと、自分のことを表現することができません。
たとえば、自分の感情を表現しようと思ったときに、本を読まない人ほど、ボキャブラリーが少なすぎて、小学生のような感じになってしまいます。気分が悪いとか、イヤな感じがする、悪いなと思っている、ぐらいしか言えないのです。
言葉の裏には、世界が広がっているのです。
その感情を分析していくと、「罪悪感」という言葉が出てくるでしょう。その罪悪感にも種類があって、それが何なのかを見ていかないと、自分が何を感じているのか、はっきりすることができません。
それはたとえば、「自責の念」といった、自分を責めるような感情かもしれないし、「悔悟」というとりかえしのつかないことをしてしまったと後悔するような感情かもしれません。また、「良心の呵責」といった、モラル的なことかもしれないし、「後ろめたい」という気持ちかもしれません。
そういうボキャブラリーがなければ、自分の中にあるモヤモヤした気持ちを「イヤな気分だ」という言葉にしか集約できません。
それが明確にできないと、いつまでたっても、気持ちは晴れないままです。
言葉を知っていることで、自分のことが理解できる用意なるとは、こういうことなのです。p73

 最近、テレビやネット動画などでのインタビューを受けている人の言葉を聞いて、違和感を感じることが多かったのです。言葉足らずというか、表現力がないといういか、一言でいえば「小学生みたい」な受け答えをする人が多いなと思っていたのです。逆に小学生の発言の方がしっかりしていると感じることも多いくらいです。

 ボキャブラリーが不足しているから「おいしかったです」「うれしいです」「残念です」「がんばります」しか言えないのかしらと思うと、納得はできるんだけど、何とかならないのかなという気持ちになってしまいます。

 もし結果がダメだったとしても、やるだけやったけどダメだったのか、運が悪かったのか、準備不足だったのか、次はどうしようと思っているのか、これでおしまいなのか、インタビューしている側はそういうことを答えて欲しいと思って質問しているのに、自分の考えや感情を上手く伝えられないのって、残念だと思います。

 

 どんな言葉を選ぶのかも大事だし、それをどういう感情に乗せて発するのかも大事だと思うのです。そういうことを学習するのも、読書のチカラだと思うのです。まっすぐ前を向いて話すのか、泣きながら話すのか、笑いながら話すのか、淡々と話すのか。

 どんなに立派なことを言っていても、抑揚のない、ブツブツ言葉が切れるような話し方をされたら、「この人は、そんなこと心から思ってるわけではないんだな」というメッセージとして受け取られてしまいます。

 本当に自分の思いを伝えたいためには、自分の思いを正しく表現する言葉が必要です。だから、読書はとても大切なことなのですね。

 

人生は、本を読んでどう動くかで決まる p195

 人生を豊かにするために、より楽しい人生を送るために、これからもずっと、本を読んでいこうと思います。

2595冊目(今年294冊目)

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