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  • ダメでもいいからやれ。
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    やってみもせんで何を言っとるか
    (by 本田宗一郎)

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『キャベツ炒めに捧ぐ』 井上荒野 268

キャベツ炒めに捧ぐ

井上荒野(いのうえ あれの)

ハルキ文庫

一万円選書 の中の一冊

 お総菜屋さん「ここ家」はなかなかの繁盛店です。だって季節ごとに変わるお惣菜が、気取っていない家庭の味でとってもおいしいんですもの。オーナーの江子さん61歳、いつもむっつりしている麻津子さん60歳、そして新人の郁子さん(たぶん60歳くらい)の3人は毎日、あーだこーだたわいもない話をしながら、おいしいお惣菜を作っています。

 離婚した夫にまだ気持ちが残っている江子さん、付き合っている人はいるけれど、しょっちゅう会えるわけではないので不安な麻津子さん、死んだ夫や子どものことを思い出して切なくなる郁子さん。知らない人から見れば、ただのおばちゃんたちにしか見えないけど、三人三様の思いを胸に生きています。

 若い子から見たら結構な年寄りなのかもしれないけれど、今時の60歳ってまだまだ元気だし体力もあるんです。でもね、将来のことを考えると「このままずっとひとりなのかなぁ?」「孤独死しちゃったらどうしよう?」なんて心配もしてしまうし、傍目ほどお気楽じゃないんですよ。

 おいしいものも食べたいし、楽しいこともしたいし、恋もしたいし、いろんなことがしたいんです。だって、今やらなかったら永久にできなくなってしまうかもしれなんだもの。60歳って、そういう微妙なお年頃なんです。

 それにしても「ここ家」のお惣菜はどれもおいしそうなのよねぇ!

2569冊目(今年268冊目)

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