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『これってホントにエコなの?』 ジョージーナ・ウィルソン=パウエル 270

これってホントにエコなの?
Is it really green ?

ジョージーナ・ウィルソン=パウエル
Georgina Wilson‐Powell

吉田綾(よしだ あや) 監訳

吉原かれん(よしはら かれん) 訳

東京書房

英国

「カーボンフットプリント」とは、商品・サービスのライフサイクルの各過程で排出された「温室効果ガスの量」を追跡した結果、 得られた全体の量をCO2量に換算して表示することを言います。(環境省の資料より)

 ファーストフード、ファーストファッション、100円ショップ、コンビニ、通販など、安価で便利なサービスがわたしたちの周りに溢れています。その便利さが同時に、地球にとって悪いものを増やしているのも事実です。まずは、どういうことがそれに当たるのかということを知ることから始めるべきだと思うのです。その指標としてカーボンフットプリントがあるのです。

 

 わたしたちは、余りにも無知なのです。プラスチック製品から流れ出すマイクロプラスチックが海洋汚染の元凶となっているということを知識として知ってはいても、それが家庭の洗濯機の排水から出ているなんてことを想像したことがありますか?地球を汚染する原因を自分自身も作り出しているということを知ってしまったら、もう無関心ではいられません。

 洗濯したものをそのまま干せば乾くのに、乾燥機で乾かすことによって、余分なエネルギーを使っているのです。洗剤だって固形や粉であれば紙パッケージで済むけれど、液体やカプセル型のものはプラスチック容器で運ぶしかありません。必要以上に洗濯したり、クリーニング店へ出すことによって、更に多くのエネルギーを必要とし、温室効果ガスを余計に排出することになってしまうのです。

手持ちの衣類の寿命をあと9か月伸ばせば、そのカーボンフットプリントを最大30%削減できます。(本文より)

 服のボタンが取れた、破れた、だったら直せばいいんです。修理したり、リフォームしたりすれば、まだまだ着られる服がたくさんあります。飽きてしまったのなら、フリマに出したり、誰かにあげたりすることもできるし、ヨレヨレになったのなら雑巾にすればいいんです。ゴミにしてしまったり、タンスの肥やしにするよりも、何かひとつのアクションを起こすことで衣類の寿命が延びます。

 

 自分が日常で何の気なしにやってしまっていることが、環境にとって良いことなのか悪いことなのか、この本を読みながらいろいろと考えさえられました。思い出してみると、子どもの頃、わたしの家には冷蔵庫はあったけれど、洗濯機もエアコンもありませんでした。夜遅くまで営業している商店や飲食店などなくて、宅配便もなくて、だからエネルギー消費量は今よりずっと少なかったのは間違いありません。

 わたしたちは便利さと引換えに環境を破壊してきました。いまだに大きなビルを建てることが良いことだと信じている愚かな人達もいます。だからこそ、わたしたちひとりひとりが選択していかなければいけないのです。無駄な開発や、弱者から搾取するような企業を排除する行動に出れば、おのずと世の中は変わっていきます。「売れないものは作らない」それが市場原理ですから。

 それってホントにエコなの?という疑問を常に持ち続けること、それしか地球環境を守る方法はないと思うのです。

2571冊目(今年270冊目)

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