『軽くなる生き方』 松浦弥太郎 289
そこで、僕は少し立ち止まることにした。自分が抱え込んだ荷物をいったん全部出し、カバンの中身を点検してみることにしたのだ。
いるか・いらないか、微妙なものは、断固として潔く手放す。
本当に大切なものだけを、厳選して持つ。そしてかわいがる。p4
毎日を漠然と過ごしていると、なぜか物が増えてしまうのです。「これは大事な物」と思って手に入れたはずなのに、いつの間にか使わなくなってしまった物。着なくなってしまった服。そういうものを時々整理しないと、本当に必要なものが埋もれてしまうような気がします。
思えば10代で初めてアメリカに行ったときも、なにより驚いたのが挨拶だった。
偶然、エレベーターで乗り合わせただけの知らない人に、ニコッとしてあいさつする。お店で買い物をしただけでも、店員がお釣りをわたしながら、こう言ってくれるのだ。「Thank you. Have a nice day!」p38
わたしも、同じように声を掛けてもらったことを思い出しました。買い物をした時、道を聞いた時、それこそすれ違いざまに目が合っただけでも、Have a nice day ! Have a good trip !
こんな一言で、心がパッと明るくなるんですよね。こういう一言を掛けられる人になりたいなぁ。
ごく日常多岐な散歩をひんぱんにするのは、体にいいこともあるが、心の健康のためでもある。
歩くこと。すなわちそれは、「一人になれる時間」だからだ。p45
時々行く古書店の棚で「松浦弥太郎」という著者名を見つけて、思わずこの本を手に取ってしまいました。久し振りに松浦さんの言葉を読んでみたくなったのです。この本が出版された当時、松浦さんは「暮しの手帖」の編集長をされていました。今までと違うタイプの仕事に面白さを見出しつつも、何かひっかかるものがあったのかもしれません。この本の終盤の方で、軽いうつ症状があると告白されていました。
なぜ自分がうつになってしまったのかを考えていくうちに、自分を見つめ直すということに気がついたという松浦さんの言葉から、とてもスッキリとしたものを感じました。困ったことがあった時こそチャンスだという考え方がすてきです。
気がつかないうちに、外界に対する壁を作っていたり、無駄な思い込みを持ってしまうから、時々そういうものをエイヤっと捨てて、身軽になるって大事なことなんですね。
2590冊目(今年289冊目)
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