『レジデンス』 小野寺史宜 272
成績が良いからと私立中学へ進学したのに、そこで自分のレベルを思い知らされてしまった弓矢。そのうっぷんを自転車泥棒で晴らしている。公立中学に進んで、ずっと学年1位をキープしている望。彼はひったくりを夜な夜なやっている。弓矢の異母兄の充也は人当たりはいいけれど、決していい奴ってわけじゃない。根岸は就職活動前に事故で足の骨を折って就職できなくなってしまい、今はフリーター。その事故のことを忘れることはない。
同じマンション「湊レジデンス」に住んでいる4人とも若くて、将来があるはずなのに、そんなことは全然考えていない。いろんな不満をかかえ、その原因は自分にはないと決めつけている。だから、人が見ていないところで悪事を積み重ねているんだけど、そんなことをいつまで続けられると思ってるんだろう?きっと、そんなこと考えたこともないんだろう。
バレなければなにをしてもいいさって思ってやっていたことが、バレてしまったとき、もう引き返せないんだよ元の生活には。でもさ、そんなこと考えてないよなぁ、この4人。という感じのお話でした。
この作品は2006年に発表された「湾岸宮殿」を改題し、全面改稿したものなのだそうです。小野寺さんの最近の作品とは正反対の黒い世界です。同じマンションに住む人や、学校の友人などとのかかわり方はそれなりだけど、信頼感とか暖かさとかがまるでない世界。でも、こっちの方がより現実の世界を描いているような気がします。
2573冊目(今年272冊目)
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