『院内カフェ』 中島たい子 283
間りん子さんは病院に併設されているカフェで土日だけバイトをしています。ここは病院だからって特別なメニューがあるわけでじゃなくて、ラテやサンドイッチやケーキを頼むことができます。
ここには、患者さんとお見舞いの人という組み合わせで来る人もいるし、患者さんだけでやってくる人もいます。「ここのコーヒーはカラダにいい」と、ずっと繰り返し言っている男とか、態度がデカイ白衣の男とか、変な客もいるけれど、ほとんどは普通のお客様ばかりです。
客席で突然ケンカを始めた入院患者とその妻らしき2人連れの話は、ありがちな話かなって気がします。夫婦を長くやってきても、本音でぶつかり合わなかったツケがある時訪れるんですよ。どちらも元気な時には我慢できたことが、体調が思わしくなくなると我慢しきれなくなって爆発しちゃう。こんな時にって、相手は言うけれど、そんなことを言っていたらこっちまで具合が悪くなっちゃう!って思ったらじっとしていられなくなるのよね。
病院へやって来て、ここの医者は冷たいとか、他の治療方法はないのかとか、どうしても入院しなければならないのかとか。患者は勝手なことを言います。
悪い人だから病気になったわけじゃないし、いい人だから良くなるわけでもないし。どうしてそんな病気になってしまったのか原因がわからないこともあるし。そんなことを続けていたら、そりゃ病気になるよってこともあるし。
病気になって初めて家族の大切さがわかる人もいるし。そんなこと、ちっとも考えていない人もいるし。
それでも、みんな生きているんです。生き続けたいから病院へやってくるんです。診断を受けて疲れてしまい、カフェで一息つくんです。コーヒー飲んじゃダメって言われていたのに飲んじゃうのも、人間だもの、しょうがないのよねぇ。
2584冊目(今年283冊目)
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