『看守の流儀』 城山真一 327
刑務所という場所は、自分がやってしまったことを反省し、出所した後の生活を考えて仕事を行うという「更生」をモットーとしていて、出所するときには二度と帰ってくるなよと送り出すのですが、結局戻ってきてしまう人が多いのが現実のようです。
外国の刑務所の中の話は何冊か読んだことがありますけど、日本の刑務所はやっぱり独特感がありますね。真面目というか融通が利かない感じを強く感じます。
刑務所内の仕事といえば、印刷とか木工とかというイメージだったんですけど、最近は刑務所内も高齢化が進んで、介護を主な仕事とする受刑者もいるというのにはビックリでした。介護の資格を持っていれば、シャバに戻った時に就職に役立つというのは、確かにそうかもしれません。
受刑者の中に元歌手がいて、この人が出所後に書いた「手記」から始まるこの物語、最初はこういう人もいるんだなぁとしか思わなかったのですが、少しずつストーリーに絡んでくるところが見事です。
そしてもう一人、火石という顔に傷がある刑務官が時々現れて、不思議な人だなぁと思っていたのですが、最後の話で「そうだったんだ!」という展開に驚きました。
第一話「ヨンピン」
模範囚として服役期間の四分の一を残して仮出所した源田が、更正施設から姿を消してしまったのです。
第二話「Gとれ」
加賀刑務所が印刷を請け負っている大学の入試問題が漏洩してしまった。
第三話「レッドゾーン」
総務部で管理していた受刑者の健康診断記録とレントゲンフィルムが消失した。誤廃棄か?盗難か?
第四話「ガラ受け」
すい臓がんで倒れた受刑者・貝原は、刑務所内での療養を希望するが、刑務官の西門は刑の執行停止を求め、貝原の家族に会いに行く。
第五話「お礼参り」
再犯リスクの高さから、加賀刑務所は警察と共に、満期出所した放火犯・牛切に監視をつける。
どうやらシリーズ化されるようなので、次作も楽しみです!
2628冊目(今年327冊目)
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