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    (by 本田宗一郎)

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『学校のぶたぶた』 矢崎在美 321

学校のぶたぶた

矢崎在美(やざき ありみ)

光文社文庫

 最近の学校は、いじめや人間関係の問題がいろいろとあって、カウンセラーの人が生徒たちの相談に乗ってくれるのですが、担当者によっては上っ面の対応しかしてくれなかったり、たまにしか学校に来ないので希望者全員の相談を受けられないということもあるようなのです。この中学校のカウンセリング担当者は今度来るカウンセラーがどんな人なのか心配していました。そして、やってきたカウンセラーに会ってビックリ!ピンクのぶたにしか見えないけど!差し出された名刺には「山崎ぶたぶた」と書かれていました。

 

いじめる人って、本能的にいじめられる人を見抜くんですよ。その人がどんな人とか、あまり関係ないんです。でも、決して自分よりも強者にはいかない。それは、自分が弱者であるという無意識の自覚があるからです。でも、強弱の基準は自分にしかないから、そこで矛盾が生じるんですよね。どうやっても自分を認められないから、自分よりも下だと思う人を利用します。いじめはわかりやすいですけど、友達のふりをしていいように扱ったり、共依存のような関係を作ったりしますね。
それとは別に、善悪の基準のない人っていうのもいますよね。本当の意味で『悪気のない人』っていうのが。人の気持ちを想像する機会がないままそだってしまったというかね。 p145

 ぶたぶたさんは、知らない人にはカウンセラーの人には見えませんから、それをうまく利用して、話をするのが苦手な中学生の相談に乗ってくれます。最初はどうってことない話から始めて、何度か話すうちに、心の奥底にあった小さなトゲに気がつくこともありました。

 この学校では先生や生徒の家族もカウンセリングを受けられます。それも大事ですねぇ、生徒たちが起こす問題の原因が大人の方にあることが多いのですから。

 たわいもない相談から、深刻な相談まで、ぶたぶたさんは親身になって聞いてくれます。相手が普通の人間でなくぶたぶたさんだから気軽に相談できるってこともあるのかもしれません。話す相手の姿がカワイイと、それだけで心が柔らかくなるんですもの。

 ぶたぶたさん型カウンセリングロボットができたら、これまでよりカウンセリングに行く人が増えるんじゃないかしら、なんて想像をしてしまいました。

2622冊目(今年321冊目)

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