『四十九日のレシピ』 伊吹有喜 312
乙美さんが亡くなって、良平さんは何をする気力もなくなっていました。食事もせず、風呂にも入らず、ボロボロの状態だった彼の前に現れたのは井本と名乗るガングロ金髪の女の子でした。彼女は生前、乙美にいろいろなことを教わっていたのだと言います。そして、乙美から四十九日の間、良平さんの世話をするようにと言われていたというのです。
良平さんは、真面目で不器用な人です。本当は娘に優しくしたいのだけれど、どうしていいのかわからないのです。母親が亡くなって、久し振りに実家に帰ってきた娘の百合子とのコミュニケーションが上手く取れなくて、お互いに気まずい感じが漂っているんです。
井本(イモ)と力仕事を手伝ってくれるというハルミの2人は、今まで乙美に世話になっていたからと、どんなことでも手伝ってくれます。そのおかげでしょうか、良平さんは少しずつ元気になっていったのです。
乙美さんのために作った「年表」がとてもステキだなと思いました。故人となった人との思い出をみんなで書き込んでいって、「あの時は○○だったねぇ」って思い出すのって、一番の供養ですよね。
その場にいなかった人にも、あの人はこんなことをしたんだよ、あんなことを好きだったんだよ、って。
そういう、お見送りの仕方っていいなぁ。
家族って何なんだろう?親戚って面倒くさいだけ?最近、友達と会ってないなぁ。いろんなことを考えさせられる、いい作品でした。
2613冊目(今年312冊目)
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