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『ミュゲ書房』 伊藤調 308

ミュゲ書房

伊藤調(いとう しらべ)

KADOKAWA

 章(あきら)が会社を退職して間もなく、北海道で「ミュゲ書房」という書店をやっていた祖父が亡くなり、その店を畳むはずだったのですが、地域の人たちの依頼もあって、店を再開することになったのです。

 書店の経営など素人の章のことを、読書好きの高校生の桃や、この店で週末だけカフェをやっていた池田くんが助けてくれて、少しずつ書店らしくなっていきます。更に、章が編集者だったことを知った人が自分の本の出版を手伝ってくれないかと相談してきたのです。

 大手出版社の編集者だった章(あきら)は会社を退職したのは、新人作家「広川蒼汰」の作品を出版することができず、それを自分の責任だと感じていたことが大きな理由でした。せっかく才能がある作家を見つけたのに、上司とどうにも価値観が合わず、自分は負けてしまったという気持ちがずっと胸の内によどんでいるのです。

 会社員という立場だとどうしても超えられない壁がありました。小さくても一軒の書店の主という立場になってから、章は考え方を変えられるようになったのです。損得勘定ぬきで「イヤなものはイヤ、好きなものは好き」と言えなければ、よいものは作れないということに気がついたのです。

 あの広川蒼汰の作品をなんとか世に出したいという思いをずっと持っていたからこそ、彼の人生は思ってもみなかった方向に進んだのかなぁ。

 最近、個人書店が減り続けています。ミュゲ書房のようなステキな書店が、いろんな場所で生き残っていけますように、書店がない町になんか住みたくないですもの。

2609冊目(今年308冊目)

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