『ミ・ト・ン』 小川糸 平沢まりこ 324
ルップマイゼ共和国に仲の良い家族がいました。その家にとって初めての女の子が生まれたので、お祖母さんも、お祖父さんも、お母さんも、お父さんも、3人のお兄さんもとても喜びました。そして彼女はマリカというステキな名前をつけてもらいました。
この国では、女の子はミトンを編むことを幼いころから習います。冬がとても寒いから、ミトンはとても大事なものなのです。マリカは活発な子で、外で遊んだりダンスをしたりする方が好きで、手芸や家事などはあまり得意ではありませんでしたけど、大好きな人ができてからは、お祖母さんに習って、なんとかミトンが編めるようになりました。
ルップマイゼ共和国は自然が豊かで、穏やかな人達が暮らす良い国だったのに、「氷の帝国」に併合されてからはいろんなことを制限される場所になってしまいました。それはまるで、かつてのソ連が小国を併合したのとそっくりな、酷い仕打ちです。
このお話のモデルになっているのはバルト三国のラトビアという小さな国です。ソ連だった頃は、民族衣装を着ることも、自分たちの言葉を話すことも禁じられていて、唯一ミトンを作ることだけが許されていたという歴史は悲しいです。でも、カラフルなミトンを見ていると、どんな時でも希望を捨てずにいた人々の強さを感じます。
ソ連という大国の夢を捨てきれない愚かな人のせいで、現在、ウクライナはロシアから戦争を仕掛けられています。こんなバカな戦争が早く終わりますように。という気持ちがまた強くなりました。
2625冊目(今年324冊目)
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