『チーズと塩と豆と』 角田光代、井上荒野、森絵都、江國香織 358
ヨーロッパが舞台のいろいろな食べ物が登場する4つの物語です。
神様の庭 角田光代
「バスクはスペインではない」というのは、バスクの人たちの共通した考え方です。バスクからは素晴らしい芸術家もいるけれど、真面目で勤勉な人が多いのです。その分、家族や村のルールに縛られることが多くて、主人公はバスクから遠く離れた地で暮らしていたのだけれど、ある時、彼女は自分の頑固さに気づいたのです。
理由 井上荒野
ピエモンテ(イタリア)という田舎町で暮らす主人公は年の離れた夫とふたり暮らしでした。でも、夫が入院してしまってから、これまでの生活が一変してしまったのです。
ブレノワール 森絵都
ジャンはパリで料理人として働いています。ブルトン人(ブルターニュ地方に主として暮らすケルト系民族)の彼は、立派なシェフになって母親を見返してやろうと思っていたのですが。
アレンテージョ 江國香織
リスボンで暮らすマヌエルとルイシュはアレンテージョ(ポルトガル)へ休暇でやってきました。2人は恋人なんだけど、マヌエルに振り回されてばかりのルイシュは、ちょっとご機嫌斜めなのです。
イタリアのアウロドローモ沿いのドライブインのようなレストランに入った時に、そこで出された食事が余りにもおいしくてビックリしたことを思い出しました。周りは長距離トラックの運転手さんのような人が多かったのだけど、みんな食後のドルチェをどれにするのか真剣に悩んでいるところが、とても印象的でした。ランチのドルチェでもかなりの大きさがあるものばかりで、「あれとこれと半分ずつ欲しいんだけど」とお願いしていたおじさんがいて、本当にその通り出てきたのにはビックリでした。
ケルト人の国、アイルランドへ行ったときには、素材の味を生かしているところが、和食とも通じるところがあって、とにかく何を食べてもおいしかったんです。また行きたいなぁ。
食べることを大事にするということは、丁寧に生きるということに通じるのだと思います。そして、食事を共にすることは心を共にするということなのだということを強く感じたのです。
2659冊目(今年358冊目)
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