『早朝始発の殺風景』 青崎有吾 337
この短編集に登場する場所は、始発の電車の中、放課後のファミレス、観覧車のゴンドラの中など、決して特別な場所じゃないんだけど、シチュエーションとして密室になっていて、そこでの会話だけで物語が進んでいきます。
この人、クラスメートなんだけど一度も話したことないから、何を話していいのかわからないとか、何で男同士で遊園地の観覧車に乗らなきゃならないんだよとか、ちょっと困った気持ちで、弾まない会話をする2人の高校生たち(メロンソーダ・ファクトリーだけは3人)。
話をしていくうちに、何かが変だな?と気がつくところから突然ミステリーになっていくところが面白いんです。
特に気に入ったのは「メロンソーダ・ファクトリー」と「三月四日、午後二時半の密室」です。違和感の原因を見つけ出す高校生の観察眼が素晴らしい!
・早朝始発の殺風景
・メロンソーダ・ファクトリー
・夢の国には観覧車がない
・捨て猫と兄妹喧嘩
・三月四日、午後二時半の密室
・エピローグ
別々の物語の登場人物たちのその後がまとめられているエピローグ、実に見事でした。
2638冊目(今年337冊目)
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