『運動脳』 アンデシュ・ハンセン 342
神経科学の研究調査によれば、ADHDの人の場合はこの脳内の雑音が大きく、それがうるさくて集中できないという。そして内部の雑音が聞こえれば聞こえるほど、集中することが困難になる。
だが興味深いのは、ドーパミンの分泌量が増えると、この単調な唸りの音も止まることだ。感覚中枢から伝えられる雑音(たとえばカフェのざわめきなど)と、もともと脳内にある雑音の両方が消えるのである。p136
たとえば「暗記の能力」は、筋力トレーニングではなくランニングによって高められることがわかっている。だが、「連想記憶」は、筋力トレーニングで高まるという。「連想記憶」とは、例えば顔と名前を一致させるときの記憶だ。
また、鍵をどこに置いたかを思い出すというような記憶は、ランニングと筋力トレーニングの両方に影響を受けるという。p243
ポイントは「心拍数を増やすこと」。だが何より大切なのは、何をして身体を動かすかではなく、とにかく身体を動かすことだ。p293
身体をよく動かせば、ちょうど筋力トレーニングで筋肉が鍛えられるように、灰白質と白質の働きが強化される。したがって運動をすれば、子どもでも大人でも知能が高くなる。p305
ADHDでなくても、集中できないという悩みを持つ人なら対処方法は同じなのです。ドーパミンをより多く分泌すればいいのです。そのためにはどうすればいいのか?その答えは「運動しよう」ということなのです。
ランニングやエアロバイクで身体を動かしながら勉強すれば、暗記能力が高まります。筋力トレーニングで連想記憶の能力が高まります。じっと座ったままで勉強するより、動きながらの方が効果が上がるのです。
数年ほど前に、毎日、意識的に歩くと認知症の発症率を40%減らせることを突き止めたのだ。まさに仰天するような数値である。この発表に、マスコミがあまり関心を寄せなかったことは、かえすがえすも残念だ。
仮にこれが薬なら、あっという間に世界中に広まって飛ぶように売れ、抗生物質登場の登場以来の革新的な発明としてもてはやされたに違いない。
p319
脳の老化を予防するなら、毎日か、少なくとも週に5回、20~30分歩こう。または週に3階、20分ランニングをしよう。それと同等の運動強度であれば、水泳やサイクリングでもよい。p328
1日に20~30分歩くという程度なら決して難しいことではありません。買い物へ行く、散歩へ行く、図書館へ行く、一駅分歩く、というようなことを毎日どれかひとつ実行すればOKですものね。
運動するとなぜ脳に良い効果があるのかの理屈が気になる方は、この本を読んでみて下さい。
でも、理屈なんかわからなくていいんです。動かないでいると身体も脳も衰えるということがわかれば十分なんですから。
とにかく大事なのは、身体を動かすことなんです!
#運動脳 #NetGalleyJP
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