『ノッキンオン・ロックドドア』 青崎有吾 10
探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」で依頼者を待つのは、「不可能専門」御殿場倒理と「不可解専門」片無氷雨の2人。知らない人が聞いたらかなり物騒な言葉をぶつけあっている2人だけど、決して仲が悪いんじゃありません。ここでバイトをしている高校生の薬子さんの方がしっかりしていて、この2人を上手く扱っているところが笑えます。
そして、この2人と大学のゼミの同期という警部補の穿地(うがち)が登場すると、殺人現場なのに3人で漫才をしているような感じになってきて、大丈夫かよ~ってところです。
2人の推理は、職業としての探偵というよりも、ミステリーファンな感じです。後からもう1人同期生の美影が登場すると、ちょっと犯罪の色が濃くなってきたような。チープトリックが好きな彼は、現場近くに歌詞の一節を残していくのですが、この年代でチープトリックのファンだなんて、ちょっと変わった奴なのでしょう。
「早朝始発の殺風景」が面白かったので、この作品も読んでみたのですが、この2人組探偵をどう捉えるかが、楽しめるかどうかのポイントです。ゆるいバディものと考えれば面白いけど、本格推理かと言われたら「ちょっとね」。
とはいえ、「ノッキンオン・ロックドドア」というタイトルは、名曲「ノッキンオン・ヘブンズドア」が好きなわたしにとって、とても魅力的な名前です。このタイトルだからこそ、この本を読んでみたんです。そして、あまり登場しなかったけれど、美影がどんな人物なのか、気になるので、次作も読もうかしら。
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