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『君は君の人生の主役になれ』 鳥羽和久 24

君は君の人生の主役になれ

鳥羽和久(とば かずひさ)

ちくまプリマー新書 412

大人になる過程で、多くの人は自分の生きる実感よりも適応(周りに合わせること)を優先させることで自信を失っていきます。その結果、自分が好きなようにふるまえないことに対して、できない言いわけ探しばかりに明け暮れる大人になります。そして、思い付きで行動しているように見える他人を「無責任」だと非難さえし始めるのです。p33

 多くの若者が「自分に自信がない」「自己肯定感が低い」と悩んでいます。それは、自己肯定感が高そうな人をネットやマスコミで多く見つけてしまうからであって、そんな人だって実は自信なんてないんです。見栄を張っているのか、言ってはいけないと思っているのか、それを外に向かって言わないできただけなんです。

 

みんなゲームの中で、アタリのあるガチャに慣れているかもしれないけど、ガチャって実は中身が入ってなくても、つまりすべてが外れでも成立するんです。要するに、ガチャの本質はすべてがハズレかもしれないという可能性を隠蔽できること、きっとアタリがあるだろうという幻想に浸れることなんです。偶然性という装置に対して恣意的に希望という色を加えているんですね。p78

 「アタリがあるはず」という思い込みは怖いです。たとえアタリがあるにしても、その確率はどのくらいなんでしょう?それに、他人にとってのアタリが、自分にとってのアタリとは限らないということだってあるし。だから「自分はガチャで外れた」って思い込んで失望する必要なんてないんです。それに、最初はハズレだと思っていた環境だからこそ、それを跳ね返すために頑張れるということだってあるんですから。

 

親というのは「問題点をでっち上げることで別の現実をつくる」という狡猾な手口であなたを支配しようとするのです。~中略~
つまり、単に親の理想が高すぎるのが問題(または単なる親の趣味の問題)なのに、それをあなた固有の問題点にしてしまうわけですね。p129

 親は「やればできる」「あなたはできる子なんだから」なんて本気で思ってるわけじゃありません。だって自分ができなかったことを子どもに託しているだけなんだから。だから結果が出なかった時、無理な期待をした自分(親)が悪かったと反省するわけでもないのです。

 

あなたはいま、たまたまやる気がない「状態」なだけで、決してやる気がない人ではありません。そのことを自分で勘違いしないでください。p218

 自分がやりたいと思うことでなければ、本気でやれるわけがないんです。でも、「やりたくないことこそ頑張ってやりなさい」と強要されることが余りにもたくさんあるんです。それを、しょうがないなぁってやっているうちに、身体を壊したり、精神を壊したりするのって、おかしな話じゃないですか。

 

 大人が作り出しているウソに騙されて、つまらない大人になったってしょうがないんだということを、この本の中でいろいろと取り上げています。

 わたしが一番気になったのは、「試合に負けた責任を取ってボウズになることを強要されたサッカー部の話」でした。

 部員の1人が試合に負けた責任をとってボウズになりますと言い出して、他の子もそう言い出して、1人だけ「自分は他の方法で責任を取ります」と勇気をもって発言したのに、「君1人だけ違うというのはマズイ」とボウズになることを強要され、仕方なくそうしたけど、どうにも納得できなくて泣いていた少年の話です。
 何かを強要する先輩たちや顧問の先生たちって、そういう同調圧力は暴力であるという意識がないのでしょうね。本来は、試合に負けた根本原因を考えて練習をすればいいのに、全員でボウズって何なんでしょう?

 それで良しとしてしまう先生(大人)がいる限り、このチームは強くなれないだろうなぁ。根性論だけでサッカーをやろうなんて頭悪いなぁ。この事件をきっかけに、この少年がサッカーを嫌いになってしまったら、そっちの方がよっぽど問題なんですけど。

 

 大人によく見られたいからいうことを聞く「良い子」って、実は腹黒いんですよ。自分がそうだったからよくわかります(笑)。大人から評価が高いだろうと思うこと(勉強してるふりとか)をして、実は違うことをやっている。つまり嘘つきになるんです。「休まず、遅れず、働かず」な大人はこうやって作られていくってことを、かつて子どもだった大人はなぜ気づかないのかしら。

2686冊目(今年24冊目)

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