『ああ面白かったと言って死にたい』 佐藤愛子 13
人目には老いが見えているのに、自分では老いたと思わないのも、これまたハタ迷惑なことではないだろうか。
「いつまでも美しく、若々しくあるためには老いの意識を持つのが一番いけません!」
彼女がいけないのではない。このスローガンがいけないのである。p29
若々しい気持ちを保つことがいいことだというのが世の中の主流なのですが、愛子先生はそれに苦言を呈しています。若いつもりでいるのは本人だけというイタイ事実って、確かにありますねぇ。
例えば、白髪を染めたいという気持ちはわかるけれど、他はそのままで髪だけ真っ黒というのは不自然だよねぇって思ったり、ヨロヨロ歩いているなら杖をつけばいいのになぁ、細かい字が読みにくいなら老眼鏡やルーペを使えばいいのに、なんて思うんだけど、そういうことを面倒と思うのか、放りっぱなしの人が結構いるのです。でも、そういうのが一番カッコ悪いと思うんだけどなぁ。
私たちは朝夕鏡を見る。鏡を見て自分を知ったつもりでいる。だが私たちが本当に見なければならないのは自分の後ろ姿なのである。p30
自分自身の後ろ姿がどんな風なのか?誰かに写真や動画を撮ってもらって見たら、どんなことを感じるのでしょう。ほとんどの人がドキッとするんじゃないかしら?
愛子先生の言葉を読みながら、自分がどんなことをしてきたか?、今どんなことをしているか?を考えてみると、冷や汗もののことばかりです。愛子先生のように胸を張って生きていくには、「自分に正直」ということが大事なのだと痛感しました。
2675冊目(今年13冊目)
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