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『棟梁を育てる高校』 笠井一子 18

棟梁を育てる高校

笠井一子(かさい かずこ)

草思社

一万円選書 の中の一冊

いま子どもたちに人気のある職業は大工であるという。それを先取りしたともいえる大工を育て、棟梁を目指す学校が平成元(一九八九)年、熊本県立球磨工業高校に誕生した。“伝統建築コース”がそれである。1学年20名。女子も入学可。近年、伝統建築に携わる技能者が高齢化し、後継者のなり手のないことから、日本の(熊本県産の)木材を生かし、従来の木造軸組工法をマスターした大工を、徒弟制ではなく、学校教育のなかで養成する日本で初の野心的な取り組みであった。(書籍紹介 より)

 これまで大工という仕事は徒弟制度で成り立ってきました。それは今時の就職とはまるで違う世界です。そんなこともあって、腕のいい大工さんはドンドン減っています。そんな状況を憂いて、球磨工業高校に「伝統建築コース」が生まれたのです。普通の建築科の勉強もしますが、日本建築を学ぶためには実地作業が大事なのです。まずは、ノコギリやノミの使い方、手入れの方法から始まり、木の種類を覚え、実際にある建築物を見たり、修復のお手伝いをしたりすることで、大工としての基本を身につけていきます。

 先生たちの様々な努力によって、大工の卵となった生徒たちが就職活動をする時点で、大きな問題があるのです。それは、高卒の彼らを受け入れてくれる企業が少ないということなのです。

たまに大企業で神社仏閣を表看板にしているところがあっても、そういう大手のゼネコンでは、まず求人には応じてくれない。たとえ応じてくれたにしても従業員という形で職人を雇用していないから、その種の仕事があれば、全部専属の下請けにまわしてしまう。これでは、まるっきり看板に偽りありではないか。そこで、
「給料とか福利厚生や保険はどうなのかと聞くと、『いや、うちはもうほとんど関係ないんですよ。下請けが大工を持っているからそれを動かします』みたいな言い方なんですよ。冗談じゃない。そのへんに企業側の職人蔑視の体質がありますね。」p114

 ゼネコンを含む多くの大企業は「大卒」しか採らないのです。大学の建築科を卒業したからと言って、ノコギリやノミが使えるわけではありません。実際に建築に携わる大工などの職人仕事は下請企業に任せてしまえばいいのだという安易な考えがあるのです。

 

 「伝統建築コース」を卒業した人たちの中には、建具や家具など、大工以外の伝統技術に就く人もいます。古い建物を修復したり、移築したりという場合、家を構成するすべての部分に伝統建築の技術が必要なのです。

 SDGsには、古いものを大事に使っていくということも含まれているはずなのですが、大企業ほどそういうことに関心がないのは何故なのでしょうか。新しいものだけが素晴らしいわけじゃありません。昔からある素晴らしいものを大事に守っていくことを忘れてしまってはいけないのです。

 だからこそ、この高校のような学校が全国にできたらいいな思います。そして、卒業生たちが様々な現場で働けるようになって欲しいと願うのです。

2680冊目(今年18冊目)

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