『滅びの前のシャングリラ』 凪良ゆう 20
いじめられっ子の友樹、人殺しを依頼された信士、シングルマザーとして生きてきた静香、絶大な人気を誇る歌手のLoco、それぞれに悩みを持って生きていたのだけど、ある日突然すべてが覆されてしまったのです。
「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」という報道によって、社会は機能しなくなり、みんな勝手なことをし始めます。そんな中で必死に行動し、これまでの人生を振り返り、納得できる終わりを探し続ける4人の物語。
あと一ヶ月しか生きられないと知った時、それをどう考えるのかは人それぞれ。だったら大事な人のところへ行こうと思う人もいれば、今のまま静かに暮らそうと考える人もいます。でも一番怖いのは、何も考えていない人なのです。略奪や暴力しかできない人によって破壊されていく町の様子はとても怖いのです。
地球最期の日に向かっている中で、最初はいじめられっぱなしだった友樹くんが少しずつ成長していく姿を見て、母親の静香さんは嬉しかったのでしょうね。友樹くんが思いを寄せていた雪絵ちゃんも、心の中の重いものを下ろせてホッとしたんじゃないかしら。
最期の時は大事な人と過ごしたいということに気づけた人は、幸せなんだなと思うラストでした。
2682冊目(今年20冊目)
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