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『「一人で生きる」が当たり前になる社会』 荒川和久、中野信子 14

「一人で生きる」が当たり前になる社会

荒川和久(あらかわ かずひさ)

中野信子(なかの のぶこ)

ディスカヴァー携書

(中野)結婚における男性の格差社会が訪れているということですね。男性は何回も結婚する人と、結婚しない人に別れる。女性はそうでもないという事実。
(荒川)そうです。男性は再婚相手に初婚の女性を選び、再婚女性は再婚の男性を選ぶ。なので僕は、これはもはや「時間差一夫多妻制」だと言っています。離婚・再婚を繰り返す人は何回も結婚するのに、1回も結婚できない人はずっとできない。p26

(荒川)今まで一度も彼女ができたことのない男性が3割くらい存在する裏で、3割の恋愛強者が恋愛相手を何度も変えるという現実。まさに、勝者総取り。 p132

 生涯結婚しない人が増えていると世間では言っていますが、荒川さんの説明によると、江戸時代の状況に戻っただけなのだそうです。明治から昭和までの結婚率が高かっただけで、恋愛弱者にも結婚して欲しいから「お見合い」という制度を作ったけれど、今はそれが廃れて元に戻った、これが自然な流れなのだというのです。

 

(荒川)僕は「90日間自撮りチャレンジ」というものを提唱しているんです。p114

 自己肯定感の低い人は自分が嫌い、自分の顔が嫌いという人が多いので、自撮りすることで自分の顔に慣れるということが大事なんだそうです。毎日見ているうちに親しみが生まれてくるし、どうせ撮るなら写真写りがいい方がいいということに目覚めて、写真を撮る角度を工夫したり、メイクを研究したり、笑った方がいいなと気づいたり。とにかく90日続けたら、顔が変わるし、自己肯定感も上がるというのです。

 CMで有名な人を使うのは、「見慣れた顔は好ましい」という心理に訴えているからなのですが、それを自分自身に向かってもやってみるというのは面白いなぁ。自分を見ていない、見たくないという心理は、親から刷り込まれていることが多いというのは恐ろしいですよね。我が子にネガティブな心理を刷り込んでしまう毒親が多いのは、その人も毒親に育てられたせいなのかなぁ。

 

(荒川)朝の通勤電車で1人の時間を確保して、会社でみんなと会って仕事して、帰りの電車でまた1人の時間を確保して、帰宅して家族と過ごす、という流れが必要だったのかもしれません。通勤時間が10分だったら、案外、耐えられないんだと思う。p260

 1人の時間が大切だと、コロナ禍がきっかけで気づいてしまったのです。家族との時間も大事だけど、自分だけの時間も大事。たとえ立ちっぱなしの通勤電車内であっても、好きな音楽を聴いたり、動画を見たりできていれば、それは大事な自分の時間なのだということに。

 そもそも1人でいることが快適であるという人もいるし、時々は1人になりたいという人もいます。そういう自由を守りたいと大きな声で言えるようになったのが、今の時代なのです。

 

 そして、1人でいるよりも、大勢の中にいる時の方が孤独を感じる人もいます。そちらの方が実は深刻な問題なのです。

 そういう人にとって一番大事なのは、誰かに話を聞いてもらうことなのです。自分の胸の内を吐き出すことで、どれだけ救われることか。話をしているうちに、それまで気づいていなかった自分の気持ちに気づくことだってあります。

 話を聞いてくれること自体が、新しい仕事として生まれるのではないかと荒川さんは言っています。自由に話せる相手がいないことこそが、孤独というものの正体であるような気がします。

2676冊目(今年14冊目)

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