『紙屋ふじさき記念館6 結のアルバム』 ほしおさなえ 12
百花さんは大学4年生、就職活動と卒論を中心に考えなければならない時期になっていたのに、そこにコロナ禍が突然やってきたのです。ふじさき記念館の閉館イベントは中止、大学の授業もリモート、小冊子研究会の活動もリモート、就職活動もリモートです。
藤崎産業に採用してもらいたいけど、これまで自分がやってきたことに自信を持てずにいる百花さんは悩みます。こんな自分に何ができるのだろうかって。
経験が増えると、なにかあったときのパターンも読めてきて、対処方法もすぐわかるようになる。でもその分、突飛なことは考え付かなくなるんだ、って。頭がつい最短ルートを探しちゃうから、知ってることから発想するようになる。
親友の莉子の言葉に背中を押されて、百花さんは元気が出てきました。小冊子研究会の活動も、就職活動も、もちろん卒論も、なんとか頑張れそうです。
この本を読みながら、コロナ禍が起きたばかりの頃の、どうしていいのかわからない閉塞感だらけの感じを思い出しました。非常事態宣言や、リモートでの授業や仕事、買い物も大変でした。それでも、みんな何とか乗り切ってきたんです。
この3篇が収められています。
第一話 手漉き和紙見本帳
第二話 わたしたちの日常
第三話 結(ゆい)のアルバム
次の本では、新しい「ふじさき記念館」の話になるのかしら。
百花さんは、また新しいことにチャレンジしていくのかしら。
期待しています。
2674冊目(今年12冊目)
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