『輝け!ブラインド社交ダンスサークル ”キララ” の仲間達』 園ナツコ 46
ナナミさんが働く介護・家事ヘルパー派遣会社の所長の謙一さんは、糖尿病による完全失明者ですけど、ブラインド社交ダンスサークル・キララを開催し、毎月競技会に出ている活動的な男性です。
新人のナナミさんが最初に受け持ったのは、上岡恭平さん70歳。途中失明者で独り暮らしの男性で、家に引きこもりがちです。
謙一さんに、サークルへ上岡さんを連れて行っていいかと相談すると「大歓迎だよ。うちのサークルには30代から80代、幅広い年齢層の会員が20人近くいて、若手の全日本ラテンチャンピオンのカップルもいるよ。先生もいいし、おすすめだよ」というのです。
上岡さんを説き伏せて体験レッスンに行ってみると、そこには、ブラインド、晴眼者、色んな人たちがいて生き生きと楽しそうにダンスを踊っていたのです。
社交ダンスを楽しんでいる人が大勢いるということは知っていましたが、視力を失ってもチャレンジできるものなのだということをこの本で初めて知りました。途中から視力を失った方は、どうしても外に出るのが怖かったり、面倒だと思いがちですけど、社交ダンスは2人でペアを組んで踊るから、安心感もあって入りやすそうですね。
最初は頑固だった上岡さんがダンスに興味を持ってくれるようになって、生活の中に楽しみが生まれたのがとてもいいなぁと思いました。そして、そんな様子を見ていたナナミさんも少しずつダンスに興味を持つようになっていくところも面白いです。
ダンスを中心にストーリーが展開していくなかで、町中での危険について書かれていたところがとても気になりました。点字ブロックが何のためにあるのか知らない若者がいて、自転車で突っ込んできたり。段差や、雨に濡れた道で滑って転んでしまったり、わたしたち晴眼者がやらなければならないことがたくさんあるなと気づかされました。
視力を失っても、車椅子になっても、高齢になっても、ダンスを楽しめるんだというところを、こうやって伝えていくって大事だなと思いました。自分はダメだと諦める前に、何かにチャレンジですよ!
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